2015 Fiscal Year Annual Research Report
適応型信号処理による2次元頭蓋内超音波血流速度画像描出法の開発
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15J05687
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥村 成皓 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 高分解能超音波イメージング / 医用超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は適応型信号処理による2次元頭蓋内超音波血流速度画像描出法の開発を目指して、Capon法の2次元化に向けた検討、Capon法の高精度化に向けた検討を行った。Capon法は高コントラストかつ高分解能な画像を描出する信号処理手法として知られている。しかし、本手法を用いて、2次元の超音波画像を描出するためには、計算時間が膨大であり、リアルタイムイメージングに適さないことが課題であった。Capon法を用いた方法について、計算量低減方法はすでに提案されているが、不十分であったため、さらなる計算量低減方法を提案した。この結果について、査読付き国際学会や、査読付き英文論文誌において採択、掲載が受理された。受理された論文では、実験的検討によって、適応型信号処理を用いた高分解能かつ高コントラストな医用超音波画像が、リアルタイムイメージングに適用可能な計算時間で実現できることを示した。 これに加えて、来年度に予定していた、超音波頭蓋骨内伝搬の補償方法の提案についての研究を前倒しして進めた。本年度は特に、数値シミュレーションによって得られた骨内伝搬波形の解析を進めた。従来の方法では骨内を伝搬する超音波を特定するには多数の送信素子と受信素子が必要であったところ、提案法によって1送信1受信素子のみを用いて高精度に特定できることを示した。使用素子数を削減することは、診断に必要な計算量やコストを削減することに繋がるため、重要な課題である。この結果はすでに国内学会、査読付き国際学会に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2015年度から2016年度にかけて実施予定であったCapon法の2次元化に向けた検討、Capon法の高精度化に向けた検討について、本年度に論文発表まで達成することができたため、研究は当初の計画以上に進展していると言える。また、来年度に予定していた、フランスParis-Est大学との共同研究テーマである、骨中を伝搬する超音波についての研究を前倒しして実施した。 これに加えて、専任義務内での研究協力として、自身の所属する研究室で取り組んでいる、”UWB レーダを用いた遠隔生体情報センシング”、 ”UWB レーダを用いた高精度イメージング”についても取り組んだ。UWBレーダを用いたイメージング、センシングの基本的な理論は医用超音波と一致しているため、報告者の課題である、適応型信号処理による2次元頭蓋内超音波血流速度画像描出法の開発に必要な医療の知識と、適応型信号処理方法の知識を活かすことで研究が進展した。今後はレーダ領域で開発された方法を報告者の課題へ応用することでさらなる研究の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、Capon法の2次元化に向けた検討、Capon法の高精度化に向けた検討については論文発表を前倒しして行うことができたため、2016年度は骨内を伝搬する超音波についての研究に専念する。
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Research Products
(10 results)