2015 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞初期化過程におけるゲノムインプリンティング安定性の検討
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15J05792
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八木 正樹 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / DNAメチル化 / ゲノムインプリンティング / 品質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、MSM-129由来のF1-ES細胞、iPS細胞を用いているためparental alleleを区別が可能である。これまでに培養条件(2i/LIF、seru/LIF)によってインプリント領域のメチル化状態は大きく異なることを明らかにしている。通常のマウス胚発生においてインプリント領域のメチル化状態は正確に維持されているにも関わらず、2i/LIF培地で培養した多能性幹細胞はインプリント領域を含めたゲノムワイドにメチル化が低下しており、さらにはインプリント遺伝子の発現も片発現アリルから両アリル発現を示すことがわかった。また現在、キメラマウス作製、tetraploid embryo complementationによる分化能、発生能に関する結果も得られつつある。インプリントが消失した多能性幹細胞はキメラマウスに高効率で寄与することができ、その過程で再度メチル化を確立していることがわかったが、一方でインプリント領域のメチル化は上昇しないことが明らかとなった。また、tetraploid embryo complementationでは、マウス個体全身を作出できる能力を評価できるが、上述のインプリントを消失した多能性幹細胞はマウス個体全身を作り出す能力に欠けることを今回の研究で示した。これら知見は、多能性幹細胞の品質評価に直結すると考えられ、今後さらに研究をすすめることにより、発生・分化に関わるDNAメチル化の重要性を明らかにしていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞の品質評価に向けた研究をする中で、iPS細胞だけでなくES細胞やEpiS細胞をも用いて研究を実施しており、培養条件等の違いで多能性幹細胞のエピジェネティクスならびに、分化能、発生能に大きく影響を与えることを明らかにすることができた。本研究成果は、今後多能性幹細胞の品質評価に大きく貢献できる可能性があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに樹立した多能性幹細胞株(DNAメチル化状態の異なる株)を用いてさらなる発生能を評価する実験に取り掛かる。また本研究では、親由来DNAメチル化(ゲノムインプリンィング等)に着目しており、それら記憶が哺乳類の発生に必須であることを示す結果が得られている。そのような親由来の記憶が通常の発生過程においてどのように維持されているかといった疑問を解き明かすべく研究に精進したいと考えている。
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Research Products
(9 results)