2015 Fiscal Year Annual Research Report
医療イメージング応用に向けた高感度3次元コンプトンカメラの開発
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15J05865
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岸本 彩 早稲田大学, 先進理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | コンプトンカメラ / 分子イメージング / 3次元画像再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分子イメージングにおけるガンマ線撮像可能エネルギーの拡張に向けた3次元シンチレータ式コンプトンカメラの開発を目的とするものである。本年度は、医療用コンプトンカメラプロトタイプ機の開発及び3次元画像再構成アルゴリズム開発に特に焦点をあて研究を行った。 コンプトンカメラプロトタイプ機の開発においては、シミュレーションによる検出器構成の最適化を基に製作した実機の基礎性能評価を実施した。その結果、従来のコンプトンカメラのおよそ2倍の高解像度化を達成し、137Cs点線源を用いたイメージング評価では約3mmという良好な解像度が得られた。 また3次元イメージングの実現のために、最尤推定期待値最大化法を基にしたコンプトンカメラ画像再構成アルゴリズムを開発した。通常2次元の投影平面上で行われるコンプトンカメラの画像再構成を3次元空間へ拡張し、加えてデータ欠損によって生じる画像の位置不定性を補うための測定手法を新たに導入したところ、3次元的にほぼ等方なイメージングの確立に成功した。 これらハード面・ソフト面のシステムを統合し、これまでに実際に様々なガンマ線源の3次元イメージング実験を実施した。その結果、シリンジのような構造体の短時間での3次元イメージングや、複数の異なるエネルギーの線源の同時マルチカラーイメージングの実証に成功している。これらの結果は核医学診断における使用薬剤の拡張の実現に向けた大きな一歩である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、27年度では (1)コンプトンカメラプロトタイプ機の開発、(2)検出器特性の基礎性能評価、(3)イメージング性能評価を予定していたが、これらのすべての項目に加えて、(4)3次元画像再構成アルゴリズムの開発、(5)単純な被写体を用いた複数視点のデータ取得による3次元イメージングの実証実験 も実施することができた。 実際の性能評価の結果においても、4.5°という良好な角度分解能が得られ、当初目的としていた角度分解能4°をおおむね実現しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果と課題を基に、今後は以下の様に研究を推進していく予定である。 ・現状使用しているよりも更にエネルギー特性の優れた光検出器MPPCを使用することで、コンプトンカメラプロトタイプ機の高解像度化を図る。 ・現状では単純な被写体でのイメージングには成功しているが、複雑な構造体の画像再構成時には強いアーチファクトが出現し画像が正しく結像しないという問題が生じている。現状の画像再構成アルゴリズムの精査を行うことで、この問題の解決を図る。 ・複数のエネルギーの放射性トレーサーを使用したファントムイメージング・小動物(マウス)イメージングを実施し、本研究課題の最終的な目標である3次元マルチカラーイメージングの有用性の実証を行う。
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Research Products
(4 results)