2015 Fiscal Year Annual Research Report
遊離代謝物を用いた13C代謝フラックス解析法の構築と動物細胞代謝プロセスへの応用
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15J05988
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡橋 伸幸 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 13C代謝フラックス解析 / 質量分析 / 動物培養細胞 / 代謝工学 / 還元的グルタミン代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤や遺伝子変異が動物細胞の代謝に与える影響を解析することで、疾患治療に有効な薬剤のスクリーニングやがん進展メカニズムの解明に有益な知見をもたらすと期待されている。直接的に代謝を理解するためには、代謝反応速度の計測から活性化、不活性化している反応を見出す13C代謝フラックス解析法が有効である。本研究では、がん細胞株を解析対象として、代謝阻害剤の投与が中枢エネルギー代謝に与える影響の定量的な解析を目的とする。この研究から活発に増殖するがん細胞のエネルギー獲得メカニズムの解明やエネルギー生産経路を阻害するような抗がん剤開発に資する知見の獲得が期待できる。 本年度の研究では、(a)代謝阻害効果が既知の薬剤を用いた解析法の妥当性検証、および、(b)中枢代謝全体への解析範囲の拡大に取り組んだ。まず、(a)や(b)を実施するための基盤構築のため、13C代謝フラックス解析法に必須となる培地成分の分析法、細胞内遊離代謝物質の回収法、13C標識割合の分析法、哺乳動物の中枢炭素代謝モデルを構築できた。 (a)に関しては、ヒト乳がん細胞株MCF-7を[U-13C]グルタミンを用いて培養し、呼吸鎖阻害剤として知られるロテノンを投与した際に、期待されるとおりTCAサイクルでの代謝が酸化的な方向から還元的な方向に変化する現象をフラックスレベルで観測できた。 (b)に関しては、[1-13C]グルコースを用いてp53欠損マウス軟部腫瘍由来細胞株を培養し、 解糖系とペントースリン酸経路の分岐比を決定することができた。これによって、TCAサイクルに限定されていた解析範囲を中枢代謝経路全体に拡大できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定したとおり、動物培養細胞の13C代謝フラックス解析法の妥当性検証および解析範囲の拡大ができており、進捗は順調である。上記に関連する成果として、査読付き投稿論文1件、学会発表3件、ポスター賞受賞2件に至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、中枢代謝を制御することが示唆されている変異型p53をp53欠損マウス軟部腫瘍由来細胞株に再構成し、中枢代謝に遺伝的な摂動を与えた細胞に対し、構築した13C代謝フラックス解析法を適用し、中枢代謝のグローバルな代謝変化を観測することを目標とする。
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Research Products
(4 results)