2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規な連続的ベンザイン発生を鍵とする多環式芳香族化合物の迅速合成法の開発
Project/Area Number |
15J06024
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 茂明 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | ベンザイン / ベンズジイン |
Outline of Annual Research Achievements |
著者はポリフェノール類からベンザインを連続的に発生させることにより多環式芳香族化合物を迅速に合成する手法の開発を目的として研究を行った。平成27年度は以下の成果を得た。 1、著者は、これまでの研究において、ベンザインを2回連続的に発生させることのできるベンズジイン等価体の開発を行ってきた。本年度はこれら等価体の合成法の改良と基質一般性の確認を行った。その結果、テレスコーピング合成を行うことで、2のグラムスケールでの合成並びに総収率の改善(10工程、総収率約13%、95 mg→約28%、2.4 g)を達成した。またベンズジイン等価体2及び6は多様な親ベンザイン体と反応し、縮合複素環4、8を収束的に合成できた(Scheme 1、Chem. Sci. Accepted)。 2、温和な条件下ベンザインを発生させるには多くの場合オルト2置換ベンゼンを前駆体とする必要がある。しかし、その合成には多工程を要し、ステップエコノミーの点に問題があった。そこで著者は、従来用いられるベンザイン前駆体より単純な基質からベンザインを発生することでこの問題の解決に取り組んだ。まず、単純なフェノールより1工程で得られるノナフラートからベンザインの発生を検討した。その結果、ノナフラートにカリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)を作用させる条件が、ベンザインの発生に最適であることを見出した。さらに発生したベンザインにKHMDSが付加したシリルアミンが生成することもわかった。次に、フェノールから一挙にベンザイン発生を検討した。その結果、KHMDSにトリス(トリメチルシリル)アミンを添加する反応条件を見出し、この目標を達成した(Scheme 2)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度の研究計画は順調に進行し、2つの重要な成果を得た。 1.申請者が開発したベンズジイン等価体と1,3-双極子化合物との反応により、多様な縮合複素環化合物を収束的に合成することができた。また、ベンズジイン等価体の合成法を改善し、収率を向上させた。 2.フェノールから一挙にベンザインを発生する手法を開発した。 これらは何れも、ベンザイン発生を鍵とする芳香族化合物の迅速合成法として極めて重要であり、本申請課題は順調に進行していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請者は平成27年度の研究で単純なフェノールから直接ベンザインを発生させることに成功した。平成28年度は開発したベンザイン発生法をレゾルシノール誘導体に適用し、見かけのベンズジインを選択的に発生させる。その際、使用する塩基及び脱離基の嵩高さ等によって、その反応位置を制御する手法の開発を行う。 ベンズトリインについてもフログルシノールから同様に検討を行う。 更にこれらの手法をルテオリンのような天然ポリフェノール類に適用することで本法が幅広いポリフェノール類に適用可能であることを示す。 本ぽ右派ポリフェノール類への斬新な官能基導入法、多置換ベンゼンの合成法として有用である。
|
Research Products
(2 results)