2015 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞から線維芽細胞への分化における主要制御因子の探索
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15J06086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 拓弥 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 転写因子 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本分化系で誘導される細胞に特徴的な転写因子を抽出するために、CTGFでのみ発現誘導される遺伝子の探索を試みた。CTGFの有無により培養されたそれぞれのGFP陽性細胞のマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行った。発現変動がみられた遺伝子におけるクラスター解析及びGene ontology解析によりCTGFでのみ発現が上昇するクラスター(126遺伝子)が得られ、細胞の移動に関する遺伝子や間葉系細胞系列への細胞分化を抑制する遺伝子が含まれていることが明らかとなった。これら遺伝子の発現を制御している主要制御因子を明らかとするためにTRANSFACによる上流解析を行った結果、約100の転写因子が候補因子として抽出された。 サイトカイン刺激を受けた細胞に分化能が保持されているのかを確認した。GFPの発現にかかわらず、サイトカイン含有培地で培養した細胞はどちらの系列への分化も示さなかった。これに対し、サイトカイン非含有培地で培養した細胞は脂肪細胞、骨芽細胞どちらへも分化した。また、どちらの培養でもGFP陰性であった細胞はソーティング後、サイトカイン含有培地で培養することによりGFP陽性細胞が出現した。GFP陽性細胞はソーティング後、サイトカイン含有培地で培養するとGFPの発現を維持したが、非含有培地で培養すると一部の細胞はGFP陰性になった。 サイトカイン非含有培養でのGFP陰性細胞及びサイトカイン含有培養でのGFP陽性細胞と陰性細胞、それぞれをソーティングし、細胞の形態、増殖能を評価した。GFP陽性細胞は、培養容器への接着が強固になっていたが、その形態は線維芽細胞様の細長い紡錘形とは著しく異なっていた。細胞増殖アッセイの結果、GFP陽性細胞の増殖速度は著しく低下していることが明らかとなった。また、GFP陰性細胞もサイトカイン含有培地で培養した細胞では増殖速度の低下がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた「pericyteの単離・培養法の確立」については現在難航しているため、pericyteから(筋)線維芽細胞への分化・活性化に関わる因子の抽出には至っていない。 MSCから線維芽細胞への分化に関わる主要制御因子の候補因子については抽出が完了した。現在、論文検索等を行い、ターゲット因子をピックアップ中である。 機能的アッセイ系としてコラーゲンゲル収縮アッセイのサイトカイン誘導前のMSCを用いた最適化が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階でpericyteの単離・培養法の確立については難航している。今後、MSCから線維芽細胞への分化を制御する転写因子の解析に注力していくことも検討する。 今後のウイルス実験において、現在所有するベクターの選択マーカーが薬剤耐性遺伝子であり自動磁気分離装置やソーティングが行えないため、細胞表面マーカーや蛍光マーカーへの再構築を行う。 MSCをサイトカイン誘導して得られたGFP陽性細胞、陰性細胞及び誘導前のMSCを用いてコラーゲンゲル収縮アッセイによる収縮能の評価を行う。
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