2015 Fiscal Year Annual Research Report
SHH、FGFシグナルバランスから理解する四肢の多様性
Project/Area Number |
15J06385
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松原 遼 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 発生 / 遺伝子発現制御 / 四肢 / シグナルバランス |
Outline of Annual Research Achievements |
SHH、FGFシグナルバランスから四肢形態の多様性を理解するためには、SHH、FGFどちらかのシグナル強度を人為的に操作して、もう一方のシグナル強度の変化を定量的に測定する必要がある。そのため私は肢芽間充織という広い環境の一部分でのみ発現しているSHHシグナルの強度を操作する、すなわちshh遺伝子発現を操作することとした。その目的を達成するため、私は個体での解析(In ovo実験系)に取りかかると同時に、個体の細胞を単離後に培養するIn vitro実験系による解析の確立に取りかかった。 In ovo実験系ではshh遺伝子発現の限局を維持したまま、その領域を変化させるため、shh遺伝子発現制御を行う上流遺伝子の過剰発現を試みると同時に、shh遺伝子発現制御配列を組み込んだshh遺伝子発現レポーターウイルスを感染させることで安定的にshh遺伝子発現を可視化することを目指した。しかし、shh遺伝子発現領域と一致するようなレポーター活性が安定して見られなかった。これは制御配列が短すぎたことが理由であると考えられる。ウイルスコンストラクトを用いる場合はこれ以上制御配列を長くすることが出来ないので、別の方法を模索中である。 In vitro実験系では肢芽の細胞を単離し、細胞用のエレクトロポレーターを使って遺伝子発現コンストラクトを導入する。その後、遺伝子発現の変化を定量RT-PCRによって測定する。このIn vitro実験系では、個体での解析に比べて肢芽細胞における遺伝子導入の効率と実験の再現性が大きく改善し、応用性も非常に優れている。今後はIn vitro実験系で様々な解析を行い、その結果をIn ovo実験系へと応用する。 平成27年度は、2つの重要な国内外の学術会議・学会へ参加し、これまでの研究成果の発表とこれからの研究における情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安定した遺伝子導入法と考えられたRCASウイルス感染法による、In ovo 実験系において、レポーターウイルスが思ったように機能しなかったことと、複数の遺伝子発現ウイルスベクターを導入するための条件検討に予想以上の時間を費やしたため、未だ明確な結果を得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro実験系を用いることで、FGFシグナル強度はFGF組換えタンパクの培地内における濃度という形で容易に操作することが出来る。今後はこの技術を用いて、FGFシグナル強度が変化した場合のSHHシグナル強度(shh遺伝子発現量)及び、それをもたらす上流遺伝子発現量の変化を定量的に示し、SHH、FGFシグナルバランスをもたらしている複雑な遺伝子間相互作用を理解する。その後In ovo実験系へと立ち戻り、個体においてもIn vitro実験系で想定された変化が起きるかどうか明らかにする。以上全ての実験結果をまとめて、論文を発表する。
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Research Products
(3 results)