2017 Fiscal Year Annual Research Report
狂犬病ウイルスの排泄機構と感染初期の免疫細胞が病理発生に及ぼす影響の解明
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15J06440
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
君付 和範 北里大学, 獣医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 狂犬病 / 病理 / 街上毒 / 感染実験 / 中枢神経 / 背根神経節 / ヌードマウス / 耐過例 |
Outline of Annual Research Achievements |
狂犬病ウイルス1088株の末梢感染により、中枢神経系(CNS)ではグリアの活性化とTリンパ球の浸潤、背根神経節細胞では変性壊死と軸索変性が引き起こされる。しかし、これらが致死に直結するどうか、街上毒1088株の病理発生においてTリンパ球がどのような役割を果たすかは未だ不明である。また、狂犬病発病後に後遺症を残した生還例が報告されているが、生還出来た理由や後遺症に関連した組織病変については分かっていない。そこで、1.致死に関連する組織病変を明らかにするため、瀕死に陥る強毒株(N0)と生残する弱毒株(N30)をマウスに接種し、両者の組織病変の違いを比較、2.Tリンパ球浸潤によるウイルス増殖性と組織傷害への影響を明らかにするため、免疫正常マウスとヌードマウスに1088株を接種し両者の組織病変の違いを比較、3.耐過例における麻痺症状とその関連病変を明らかにするため、狂犬病発症後に生残したマウスの病理組織学的解析を行った。その結果、N30株は感染初期にTリンパ球浸潤を誘導し、N0株は感染が進むにつれてウイルス感染細胞およびアポトーシス細胞が顕著に増加すること、ヌードマウスでは、ウイルス感染細胞数が有意に増加し、ウイルス感染細胞は変性・壊死すること、耐過例マウスにはウイルス感染細胞が認められず、麻痺症状を発現したマウスではアストログリアの増生を伴う空胞形成と軸索変性、CNSに高度のT、Bリンパ球浸潤が認められ、中和抗体価が著しく上昇することが明らかとなった。以上のことから、致死性にはCNS内でのウイルスの増殖、アポトーシス細胞の増加と感染初期のTリンパ球浸潤が深く関与し、特にTリンパ球浸潤はウイルスの増殖を抑制し、神経節細胞の変性壊死には二次的に関与する可能性が示唆された。耐過例の麻痺症状は、末梢神経とCNSにおける軸索損傷とその後の炎症反応が深く関与していることが示唆される。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)