2015 Fiscal Year Annual Research Report
EBウィルス感染が誘導するエピゲノム異常におけるDNAメチル化抵抗因子の解析
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15J06475
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福世(南波) 宏枝 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | TET / DNAメチル化 / エピジェネティクス / Epstein-Barr virus / 胃癌 / ヒドロキシメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
EB ウイルス(EBV)感染によるDNA異常高メチル化誘導に際し、メチル化に対する抵抗因子候補抽出として、RNA-seqによる網羅的発現解析を行ったところ、DNAヒドロキシメチル化酵素TETを同定した。定量的RT-PCRにより、EBV感染後にTET1, TET2, TET3の発現減少が認められ、中でも最も減少したTET2の機能解析を行い、以下3点について解明した。 1.「TET2強制発現による、ヒドロキシメチル化標的遺伝子とEBV感染時メチル化標的遺伝子の重複」TET2強制発現株を作成し、hMeDIP-seqを行い、TET2強制発現下にTSS近傍にヒドロキシメチル化を獲得する遺伝子を抽出した。これらのTET2標的遺伝子のうち有意に多くの遺伝子が(P<6x10-5)EBV感染によるメチル化標的遺伝子と重なった。それらの重複遺伝子は、TET2強制発現によりヒドロキシメチル化を誘導した際メチル化レベルが低下していた。 2.「TET2ノックダウン株へのEBV感染による更なる高メチル化」コントロールのshRNA (shCTRL)を導入した細胞株にEBVを感染させた細胞株に比べ、shTET2導入株にEBVを感染させたものは有意に多くの遺伝子(P<6x10-5)にメチル化が誘導された。 3.「TET2ノックダウンのみによる効果」shCTRL株とshTET2株をEBV感染を行わない状態で比較し、TET2ノックダウンのみによる効果を検討したところ、shCTRL株に比べshTET2株で新たにメチル化する遺伝子は1つも抽出されなかった。
これらの内容から、EBV感染によるメチル化誘導において、TET2によるヒドロキシメチル化がメチル化抵抗因子として働き、TET2発現低下による抵抗性の低下に加え、EBV感染によるメチル化圧を上昇させる何らかの因子により、新規メチル化が誘導される分子機構が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
EBV感染により異常高メチル化が誘導される細胞株MKN7とGES1において、感染後のTET酵素ファミリーの発現減少を同定することができた。更にその中のTET2がメチル化抵抗因子として働いていること、またTET2発現減少単独では異常高メチル化の誘導は起こらず、EBV感染によるメチル化圧を上昇させる何らかのメチル化誘導因子が必要なことを明らかにすることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにTET2の強制発現解析、またTET2ノックアウト株へのEBV感染解析により、TET2がメチル化の抵抗因子として働き、EBV感染時のTET2発現減少が異常高メチル化に寄与するという分子機構を解明した。今後は、TET2強制発現株へのEBV感染により、異常高メチル化の誘導が停止、または軽減されるのかを解析する。コントロールベクターEBV感染株に比べ、TET2強制発現EBV感染株のメチル化状態は減少するかinfiniumにより解析し、また減少しているとしたらその領域にヒドロキシメチル化は存在しているかをhMeDIPにより解析する。 同時に、EBV感染によりTET酵素ファミリーの発現が減少するその分子機構についての解析を引き続き進める。
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Research Products
(2 results)