2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J06673
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
PHUA JIA HAN EUNICE 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 金属錯体ナノシート / 液液界面合成 / 気液界面合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属イオンと配位子からなる金属錯体はその組み合わせによる様々な構造や物性を実現することが可能である。近年、当研究室では錯体で構成された二次元物質である配位ナノシート(CONASH)の合成、特性評価を報告している。中でも、ビス(ジチオレン)金属錯体ナノシートは金属イオンのd軌道と配位子のp軌道の相互作用により特異的な物性を発現すると期待される。本年度はこの系のバリエーション拡張のため、新たにヘキサアミノベンゼンを配位子としたビス(ジイミン)ニッケル錯体ナノシート(NiDI)の合成を行った。 初めに液液界面合成法によるNiDIの合成を試みた。本手法はCONASH合成時に使用される有用な手法であるが、NiDIの合成には適しておらず質の低いサンプルしか得られなかった。合成条件を検討したところ、ヘキサアミノベンゼンがニッケルイオンと錯形成する際には配位子の酸化が必要であることを見出し、気液界面合成法を採用することとした。本手法ではニッケルイオンとヘキサアミノベンゼン塩酸塩を含む溶液と微量の酸素を含むアルゴンガスが触れ合う界面にて配位子が酸化され錯形成反応が進行し、NiDIが形成される。 得られたNiDIを各種顕微鏡で観察したところ、数百マイクロメートルのドメインが観測され、膜厚はおよそ25 nmであった。X線光電子分光測定により存在元素の化学状態および存在量比から錯形成が行われていることが示唆された。また、粉末X線回折より周期構造を形成していること、シート間がeclipse型で積層されていることが示唆された。以上の結果はNiDIの形成を支持するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新規配位子を用いた新しい配位ナノシートNiDIの合成を達成した。当初予定していた液液界面を用いた合成手法を本ナノシートに適用することはできなかったが、シート形成に酸化反応が関与することを見出し、新たな気液界面を利用した合成方法を開発できた。また、合成したNiDIのキャラクタライズはおおよそ完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は新規ナノシートNiDIの合成と同定を行った。次年度からはNiDIの導電性、磁気特性、電気化学触媒能などの物性評価に主眼を置いて研究を進めていく予定である。また、獲得した物性評価結果を過去に当研究室より報告したビス(ジチオレン)ニッケル錯体ナノシートと比較し、配位子の変更がシート特性に与える影響について議論する。
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Research Products
(4 results)