2015 Fiscal Year Annual Research Report
高効率な太陽光利用を目指したナノシート積層型人工光捕集系の構築
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15J06785
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大谷 優太 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 人工光捕集系 / 有機無機複合体 / 粘土鉱物 / 励起エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では太陽光エネルギーを集約でき、かつ、後続の物質変換系と連結しうる無機ナノシート三次元積層型人工光捕集系の構築を目指す。太陽光を有効に利用するために、i)吸収波長域が広く、ii)高効率な光エネルギー移動反応を達成できる光捕集系を構築する。 まず、可視域の光全体を吸収できる光捕集系構築を行うために、カチオン性ピレンの合成し、その光化学挙動を検討した。このカチオン性ピレンは粘土表面上に吸着することで蛍光量子収率が0.03から0.36に増大した。本研究成果は学会発表にて報告した。また、カチオン性ピレン誘導体の光化学挙動を学会誌発表にて報告した。 次に、面内エネルギー移動反応の検討を行った。フルオロン―ポルフィリン間のエネルギー移動反応を検討し、フルオロン間のエネルギー移動による長距離エネルギー移動反応を達成した。本研究は学会誌発表、学会発表にて報告した。 そして、Langmuir-Blodgett法により無機ナノシートの膜化を行い、その膜表面、層間におけるそれぞれの色素の吸着挙動を、紫外・可視吸収スペクトル、定常蛍光スペクトルにより評価した。異種ポルフィリン間での無機ナノシートを介した光エネルギー移動反応を検討した。そこで光エネルギー移動効率が最も高い条件を探索した。本研究は学会誌発表にて報告した。 第2次の年度においてはLB法による粘土積層膜の作製、また粘土膜上に吸着したカチオン性色素の光化が挙動の検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究進展目標は大きく分けて2つあった。1つは多価カチオン性色素の合成、もう1つはそのカチオン性色素の粘土ナノシート表面上での吸着挙動・光化学挙動の検討である。 まず、多価カチオン色素の合成だが4価カチオン性ピレンの合成に成功した。さらに、粘土ナノシート表面上におけるその分子の光化学挙動についての検討も行った。その結果については2015年光化学討論会(大阪)において報告を行った。 加えて、異なる種類の多価カチオン性色素においてもClay Science, 2015, 19, 63-66の学会誌にて報告も行っている。これらの成果をもって、現在までの研究進捗はおおむね順調であると結論する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、カチオン性色素-粘土複合体の積層化とその複合体内での光エネルギー移動反応の検討を行っていく予定である。具体的には、現在までに検討を終えているカチオン性ポルフィリン分子とそれ以外のカチオン性色素であるフルオロン、ピレン誘導体とを粘土ナノシート上に吸着させ、光化学挙動を検討する。 まず、粘土ナノシートをLangmuir-Blodgett法にて単層膜化しその表面にカチオン性色素を吸着させ、複合体を形成する。その複合体を積層させた状態で光エネルギー移動反応を検討する。 次に、その積層化した複合体内での光エネルギー移動反応が高効率に進行するための条件を探索する。状況によっては色素の種類を変更し、より高効率に光エネルギー移動を行う系を構築する。
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Research Products
(5 results)