2016 Fiscal Year Annual Research Report
視線と心的状態の多重ダイナミックモデルに基づく意思決定のインタラクションデザイン
Project/Area Number |
15J06965
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下西 慶 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 視線運動 / 意思決定 / 統計的仮説検定 / 対話的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、ユーザの意思決定を支援するためのインタラクションを明らかにするために,1.ユーザの興味空間をどのように表現,獲得するか,及び2.ユーザに対してどのような情報を呈示することが有効か,を明らかにするための研究を行った.
1.一般に知られている階層的な意思決定支援手法を参考にして,ユーザの興味空間を複数の評価基準によって構成する.考えうる評価基準をシステムが予め知っていることで,対話的システムで同様の支援手法が実現可能になると期待される.しかしながら,評価基準は全てをトップダウンに与えることは困難な場合が多いため,様々なユーザが比較行動を行う際の視線運動から獲得するというアプローチをとる.この時,これまでに提案してきた視線の生成モデルによる閲覧属性値からの評価基準の獲得手法には限界があり,ユーザが,i)いつ比較しているか,ii)どの属性に着目しているか,を考慮していなかった.そこで,これら2点をまず検出し,その背後にある評価基準を学習する2ステップの枠組みを提案した. 第1ステップでは,統計的仮説検定の考え方に基づき,閲覧行動における視線の偏りに着目した比較行動の検出手法を提案した.これは昨年度コンセプトを提案していた手法を拡張したものである.第2ステップでは,これまでに提案してきた視線の生成モデルを,複数属性への着目を扱えるよう拡張した.
2.ユーザの選択行動の対話的支援として,閲覧対象の有する属性だけでなく,背後にある評価基準に言及することが,ユーザの選択に対する明確さを高め,選択後の満足に繋がるのではないか,という仮説を検証するため,実験参加者の協力を得て予備的な検討を行った.この結果から,評価基準を明示的に用いることによって,システムとのやり取りの回数および選択に有する時間が減少し,さらにユーザの選択に対する満足度が向上する可能性があることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度における研究成果は,ユーザが複数属性を有する対象が提示されたコンテンツを閲覧する際の視線運動から,ユーザが”いつ””どの属性に”着目した閲覧を行っているのか,を検出するとともに,その背後にある選択基準を学習するための枠組みを提案するものである.ユーザの興味空間を構築する際にこれら選択基準によって構築しておくことで,ユーザがどのような理由で比較を行っているのか,に基づいた選択支援が可能になると考えられる. さらに本研究では意思決定支援のためには,これら選択基準に基づいたインタラクションが重要になるという仮説を置いており,当該年度に行った予備的検討のための実験において,この仮説を裏付けるデータセットが獲得できているため,研究の指針を改めて確認することができている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在は,これまでにおいて構築及び獲得法を提案してきた興味空間を利用し,昨年度に行った予備的な検討に基づいて,ユーザの選択行動を対話的に支援するためのシステムを構築している. 今年度は,実際にこのシステムを用いて実験参加者の協力を得て実験を行い,システムの評価をまとめる予定である.
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