2016 Fiscal Year Annual Research Report
心室組織ECM足場と動的応力を用いたヒトiPS細胞の心室筋細胞の分化促進と選択
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15J07298
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
藤田 恭平 山形大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 幹細胞分化 / 足場素材の力学特性 / 細胞外マトリクス / 心筋細胞 / 脱細胞化 |
Outline of Annual Research Achievements |
幹細胞の分化に対して足場素材の影響が重要視されつつある。これは足場の接着性因子から幹細胞に分化を促進するシグナルが伝達されることと足場素材の力学特性が分化のトリガーとなる新発見に端を発する。各臓器および組織の細胞外マトリクス(ECM)を足場として幹細胞を分化させると、その臓器や組織に存在する細胞への分化が促進されることが報告されており、 幹細胞を心筋細胞へ分化させるための足場素材として心臓組織ECMから成るハイドロゲルが利用されていることもその一例である。平成28年度はヒトiPS細胞を心筋細胞へ効率的に分化させる手法の確立とヒトiPS細胞由来心筋細胞(hiPSC-CMs)の拍動能に対する心室ECM(vECM)コーティングの影響について以下の研究課題に取り組んだ。 1. ヒトiPS細胞の単一層での心筋細胞の分化誘導 Matrigel上でヒトiPS細胞(253G1株)を培地mTeSR1で培養を行った。培養4日目においてALP染色を行ったところ、すべてのiPS細胞コロニーはALP陽性でありiPS細胞は未分化状態を維持し培養できたことが示唆された。単一層で培養されたiPS細胞にCHIR99021(Wnt活性剤)とIWP2(Wnt阻害剤)を作用させたところ、分化7-8日目において自発的に拍動する心筋細胞へ分化した。 2. hiPSC-CMsの拍動能に対するvECMコーティングの効果 vECM(15 mg/ml)をコーティングしたディッシュで分化心筋細胞を播種し、9日間の心筋細胞の拍動頻度を観察した。培養9日目においてvECM上の分化心筋細胞の拍動回数は40回/分であったのに対して、Matrigel上の拍動回数は23回/分であった。9日間の培養期間にわたってhiPSC-CMsの拍動頻度はMatrigel上で培養されたものよりもvECM上で培養されたもののほうが高い傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は昨年度問題として浮上したヒトiPS細胞の心筋細胞への分化について精力的に取り組んだ。カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部に半年間留学(2016年5月-同年11月)し、Wntシグナル経路の調節に着目したヒトiPS細胞の心筋細胞の分化手法を習得した。帰国後は留学中に習得した分化手法を用いて安定かつ効率的にヒトiPS細胞(253G1株)を心筋細胞へ分化させることに成功した。さらにvECMコーティング上に播種した分化心筋細胞は拍動能を有利に維持されるという非常に興味深い結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はヒトiPS細胞由来分化心筋細胞を力学特性を調整したvECMハイドロゲルへ播種し以下の項目について評価を行い、vECMハイドロゲルの力学特性が心室筋細胞への分化に対してどのような影響があるかを検討する。 (1)心室筋細胞に特異的に発現するMLC-2vの遺伝子解析および免疫蛍光染色を行い、サブタイプ心筋細胞の割合を評価 (2)分化心筋細胞の成熟率を心筋トロポニンTの遺伝子発現量により評価 (3)vECMハイドロゲル上の分化心筋細胞の拍動力の変移を評価
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Research Products
(2 results)