2015 Fiscal Year Annual Research Report
乳児における時間認知と空間認知の相互作用についての研究
Project/Area Number |
15J07546
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本間 千鶴 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | 時間認知 / 空間認知 / 相互作用 / 認知科学 / 認知心理学 / 発達 / 視覚 / 難易度 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト大人では、視覚刺激の横幅という空間的長さと刺激呈示時間の長さとの間に『どちらの長さも一方が長い程他方も長く、一方が短い程他方も短く見える』相互作用が起こることが知られている。本研究では同様な現象が乳児でも起こるか確認し、より良いシステムや教育計画を作る一助となるよう時間・空間の認知的発達について理解を深めることを最終的な目的としている。乳児に対し実験を行うため、時間・空間認知について、まず大人における研究で、一定以上の成果・知見を得ておくことが必要不可欠である。更に児童を対象に実験し、大人と比較し、どのように発達するか予想しておくことが好ましい。そこで平成27年度は、大人における研究を中心に進め、児童との比較も行った。成果の一部を学術誌や国際学会にて発表し、もう2編の投稿論文を作成した。成果について下記に記載する。
これまでヒト大人の視覚における時間・空間認知の相互作用では「空間認知が時間認知に与える影響が、逆の時間認知が空間認知に与える影響より大きい非対称」を示す結果が繰り返し得られてきた。先行研究では時間・空間課題の難易度について詳細に検討されていない。しかし、「空間課題が簡単だったのに対し、相対的に時間課題が難しかった」ために相互作用が非対称となっていた可能性がある。そこで、課題難易度の評定を実施した。結果、時間課題が空間課題より有意に難かった場合、相互作用のバランスが「空間認知が時間認知に与える影響が、時間認知が空間認知に与える影響より大きく非対称」になることが示された。更に、空間課題が時間課題より有意に難しかった場合、反対に、相互作用のバランスは「時間認知が空間認知に与える影響が、空間認知が時間認知に与える影響より大きく非対称」になることが示された。
これらの研究について、指導教員及び認知的相互作用研究の第一人者である研究者双方から助言を受けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間・空間認知の相互作用について、まず大人についての研究をしっかり行い、一定以上の成果・知見を得て、さらに児童との比較を行い、発達のパースについて予測を立てた上で乳児に対する実験を行うことが好ましいという前提のもと、一連の研究を俯瞰的に見ると、現段階ではまだ乳児での実験を行える状況にはないという点で、計画通りに進行しているとは言えないが、研究に着手してからこれまでに行った実験・データの数量および、そこから得られた成果を鑑みれば研究全体としては順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
乳児に対する実験を行うに当たって、まず大人についての研究、さらに児童との比較を行い、発達のパースについて予測を立てることが必要と考えられる。この指針のもと、大人・児童についての研究を進めている。一定以上の成果・知見が得られたのちに、乳児における時間・空間認知の相互作用についての実験・研究に着手したい。
|
Research Products
(2 results)