2015 Fiscal Year Annual Research Report
新たな血液細胞fibrocytesの起源とHIV感染での意義
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15J07744
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
橋本 倫拓 熊本大学, エイズ学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | fibrocyte / monocyte / macrophage / HIV-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、我々は世界に先駆けて培養fibrocyteにおいてHIV-1の感染を示した。さらに、マクロファージでは感染後20日程度で細胞死が起こり始めるが、fibrocyteではHIV-1感染による細胞死抵抗性で、感染後少なくとも80日以上生存、感染を持続する事を示してきた。この特徴から、fibrocyteがHIV-1治療の問題となっているリザーバー細胞の候補と成り得ると示唆された。 本年度では、fibrocyte前駆細胞はmonocyteに比べHIV-1感染に対して感受性が高い事を見い題した。また、HIV-1感染者の末梢血を解析し、fibrocyte前駆細胞、monocyte、CD4陽性T細胞でHIV-1の感染を確認したところ、fibrocyte前駆細胞でmonocyte、CD4陽性T細胞に比べ、高い感染率を示した。 以上より、fibrocyteはHIV-1感染による細胞死に抵抗性であり、fibrocyte前駆細胞はmonocyte、CD4陽性T細胞に比べHIV-1感染に対して感受的であるという点から、fibrocyteがHIV-1のリザーバー細胞となる可能性をさらに強化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、fibrocyte前駆細胞と最近報告されている、CD3-, CD45+, CD14+, CD34+細胞群がHIV-1感染に対しての感受性がmonocyte(CD3-, CD45+, CD14+, CD34-)よりも高い事を明らかとした。その要因として、CD4, CCR5, CXCR4のHIV-1レセプターの発現がfibrocyte前駆細胞に於いて、monocyteより優位に高いことなどが考えられる。さらに、健常人のPBMCを採取し、HIV-1を短時間で感染させ、その後、fibrocyte(20%FCS in D-MEM)、macrophage(10% RPMI with M-CSF)のそれぞれの培養条件で培養を行い、それぞれfibrocyte、macrophageでの感染効率をPCR法を用いて、HIV-1の複製効率をp24(gag)ELIZAを用いて比較解析を行った。fibrocyteではHIV-1感染後7日、11日でのHIV-1感染率はmacrophageより優位に高いが、一方で、感染後11日でのHIV-1のgagタンパク質の産生効率はmacrophageでfibrocyteより高かった。実際にHIV-1感染者の末梢血からfibrocyte前駆細胞(CD3-, CD45+, CD14+, CD34+)、monocyte(CD3-, CD45+, CD14+, CD34-)、CD4陽性T細胞(CD3+)をそれぞれFACS ARIAを用いてsortingし細胞を得た後に、PCR法でそれぞれの細胞でのHIV-1の感染率を解析したところ、fibrocyte前駆細胞では6検体全てでHIV-1のpro-virusを検出でき、monocyteでは2検体で、CD4陽性T細胞でも2検体でfibrocyte前駆細胞はmonocyte、CD4陽性T細胞より高い感染率を示した。 以上より、fibrocyte前駆細胞はHIV-1感染に対してmonocyteより感受的であり、これまでに分かっている培養fibrocyteではHIV-1感染による細胞死に対して抵抗性である事から、fibrocyteがHIV-1の臨床上で大きな問題となっている、リザーバー細胞となり得る可能性をさらに強化する。
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Strategy for Future Research Activity |
fibrocyte研究の問題は、末梢血を培養して得られる細胞数の少なさである。fibrocyte前駆細胞はCD45、CD14、CD16、CD34の表面マーカーを組み合わせる事により得られるようになった事から、前駆細胞を濃縮し、マイクロアレイによりサイトカイン、ケモカインの受容体の発現を解析し、解析結果から候補のサイトカイン、ケモカインを選定しfibrocyte培養に加える事で、培養後得られる細胞数を増加できるか試みる。
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[Journal Article] Potential role of the formation of tunneling nanotubes in HIV-1 spread in macrophages.2016
Author(s)
Hashimoto, Michihiro; Bhuyan, Farzana; Hiyoshi, Masateru; Noyori, Osamu; Nasser, Hesham; Miyazaki, Mitsue; Saito, Tamio; Kondoh, Yasumitsu; Osada, Hiroyuki; Kimura, Shunsuke; Hase, Koji; Ohno, Hiroshi; Suzu, Shinya.
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Journal Title
Journal of Immunology
Volume: 196
Pages: 1832-1841
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Fibrocytes differ from macrophages but can be infected with HIV-1.2015
Author(s)
Hashimoto, M., Nasser, H., Bhuyan, F., Kuse, N., Satou, Y., Harada, S., ... Suzu, S.
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Journal Title
Journal of Immunology
Volume: 195
Pages: 4341-4350
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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