2017 Fiscal Year Annual Research Report
変動の時間的な伝搬を利用した、活動銀河核のX線放射機構の探求
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15J08242
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 克馬 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 活動銀河核 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の狭輝線I 型セイファート銀河、Ark 564・Mrk 766・NGC 4051に、差分スペクトル法による成分分解を実施。その結果、降着率の高い前者2天体のスペクトルについては、ハードな一次X線成分を要求しないこと、反射成分の鉄輝線が幅広であることを確認。これらは、降着率が高くなるとハード一次成分が弱くなるという我々の描像を強化するものである。また幅広の鉄輝線の存在は、ソフト成分を放射するコロナが降着円盤の十分近くに存在することを示唆する。 またNGC 4051については、これまで吸収体の変動として解釈されていたスペクトルの時間変化が、ソフト成分の強度変動のみによって説明できることを明らかにした。これは、セイファートI型AGN、NGC 3227で確認されたものと同様のことが、異なる種族であるNGC 4051でも同様に起こっていると考えられる。 狭輝線I型セイファート銀河、Swift J2127.4+5654の軟X線・硬X変動の間にハードラグがあることを先行研究とは異なる手法で再確認した。また、このラグはスペクトルの状態によって現れたり消えたりすることを発見した。これは、軟X線と硬X線を放射する二つのコロナの間のジオメトリの関係性を反映していると考えられる。 以上の複数の天体の結果を総合すると、銀河中心の巨大ブラックホールへ物質がどのように降着しているのか、考察できる。ハードコロナはRIAFと呼ばれる降着流であることが先行研究で提唱されている。ソフトコロナはこれより外側に存在し、また円盤のごく近くに存在すると考えられる。また、ハードラグがソフトな時間帯のみ存在することから、ソフトコロナが円盤を覆う割合が時間変化していると推定される。この現象は、ブラックホール連星Cyg X-1でも提案されており、大小の異なるサイズスケールを持つブラックホールで、共通の現象があることを示唆する。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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