2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15J08354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河内 護之 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD) (70771294)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 放線菌 / 土壌培養 / Streptomyces griseus |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1.土壌培養系の確立、2.放線菌と糸状菌の共培養、3.放線菌の連続的撮影システムの構築を以下の要領で行った。 1.は、土壌からの抽出液作成条件の検討した。1 N HCl、1 N NaOH及び蒸留水を用い、40%土壌懸濁液を作成した。これを121℃ 30 minでオートクレーブし、吸引濾過を行うことで3種類の土壌抽出液を得た。抽出液寒天培地を作成し、Streptomyces griseus野生株胞子液を植菌並びに培養した結果、HClとNaOHの混合液上で、形態分化が確認された。従って、土壌抽出液培地としてはHClとNaOH抽出液の混合液が最適である。 2.は、昨年度入手または作成した糸状菌株を用いて、potato dextrose寒天培地(PD)、Glucose minimal寒天培地(GMM)、nutrient 寒天培地(NT)の三種の培地上でS. griseusとの共培養を実施した。その結果、NT培地上で共培養時、糸状菌の生育が阻害された。一方その他の培地では、生育阻害等は見られなかった。従って、S. griseusが栄養環境に応じ、糸状菌と共存あるいは敵対している可能性が示唆された。 3.は昨年度構築したafsAプロモーターにGFP又は、ermEプロモーター下流にGFPを連結したコンストラクトを含むゲノムインテグレーション型のベクターを組み込んだS. griseusを作成した。共焦点レーザー顕微鏡を用い複数の条件で観察したが、GFPシグナルは観察できなかった。続いて、S. coelicolorで菌糸先端に局在するDivIVAタンパクにGFPを連結したコンストラクトを含むゲノムインテグレーション型のベクターを作成し、それを組み込んだS. griseusを作成した。共焦点レーザー顕微鏡を用い観察した結果、菌糸先端にGFPのシグナルが観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り土壌抽出的培地の条件検討、共培養の実施、連続観察のための菌株の作成を完了したため、おおむね順調に研究は進行したと思われる。ただし連続観察については、GFPのみ発現する株の作成がうまくいっていない為、再度構築の必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、土壌および土壌抽出液寒天培地における比較mRNA-seq並びにその解析を主に実施し、土壌での生育に必要な一連の遺伝子群の同定を目指す。 また、共培養については、随時様々条件で実施し、興味深い表現型が見られれば、その条件でmRNA-seqを実施する。 連続観察については、DivIV-GFP株を用いて系を確立し、その後目的的のA-factor生産遺伝子やAfsAプロモーターが活性化している部位等を追う。
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Research Products
(2 results)