2015 Fiscal Year Annual Research Report
高圧噴射装置の物理的粉砕と真核生物の捕食を併用した活性汚泥減容化の機構解明
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15J08427
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
吉野 寛之 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 余剰汚泥減容化 / 活性汚泥法 / 微生物群集制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は高圧噴射装置による回分的な処理で破砕される活性汚泥中に生息する細菌、真核生物の同定について中心に研究を行った。まず細菌の破壊について検証するために分子生物学的なアプローチを行った。高圧噴射装置による物理的な細胞の破壊は細菌細胞中に含まれるDNAを上澄み中に溶出させることから、回分的に活性汚泥にたいして高圧噴射処理を行い、その溶出した上澄みに含まれる16SrRNA遺伝子のアンプリコンを次世代シーケンサー(MiSeq)により解析することで破壊された細菌種を同定できると考え、実験を行った。また、活性汚泥は空気を巻き込む装置上方向および高圧ジェット流による装置横方向から投入され、横方向に対する上方向の汚泥投入比(以下R)を0、3に変化させてHPJDによる処理を行った。その結果、実際に高圧噴射装置によって破壊されている細菌種を同定することに成功した。その結果上澄みから得られたDNAの解析結果は活性汚泥から得られたDNAから得られた細菌群集構造とは大きく異なることから高圧噴射装置による細菌の破壊は特定の種に対して選択的に起こっていることが示唆された。さらに条件Rを変化させることにより破壊されている細菌種は変化しており、高圧噴射装置運転条件の調整により物理的な細胞損傷による菌叢制御の可能性についても示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は大きく2つあり、ひとつは高圧噴射装置により損傷を受ける活性汚泥中微生物種の同定である。これについては予定通り研究を行い、期待した以上の結果が得られたため、複数の学会で学会発表を行った。 一方でもう一つの研究計画であった高圧噴射装置を導入したパイロットスケールリアクターの運転に関しては、装置を導入したもの、していないものの2基が共に運転開始直後から予想外のトラブルが多発し、長期にわたり安定した状態での運転ができなかった。しかしながら高圧噴射装置を導入した系では発生する余剰汚泥が約80%削減出来ており、またこれまで問題視されていた処理水中浮遊物質の増加も見られなかったことから高圧噴射装置の余剰汚泥減容化への有効性が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきた研究の成果から微生物の選択的破壊が明らかとなったため、微生物の選択的破壊が汚泥性状やパフォーマンスに及ぼす影響を明らかにすることを目指す。具体的には活性汚泥の沈降性を悪化させる糸状性細菌の破砕による汚泥沈降性の向上可能性について回分試験により明らかにする。 また、パイロットスケールリアクターの安定した長期運転に向け、トラブルがあった部分を改良し、またメンテナンスにより多くの時間を割くようにする。そうすることで高圧噴射装置の導入による水質や汚泥減容化の評価がより信頼できる値になると考えられる。またそのリアクターシステムからの原生動物や微小後生動物の単離を行い、それらによる細菌の捕食が余剰汚泥減容化にどの程度影響を及ぼしているのかを明らかにする。
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Research Products
(5 results)