2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive understanding of the regulation of glucose homeostasis with in vivo Transomics analysis
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15J08435
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 有紀 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 糖代謝 / in vivo / 肝臓 / トランスオミクス / インスリンシグナル伝達 / リピドーム |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテオーム・リン酸化プロテオーム測定に先立ち、マウス肝臓サンプルからインスリンシグナル伝達経路上の数分子のタンパク質量・リン酸化量を測定した。組織内でのリン酸化量の変動は当初想定していたよりも小さく、MASSでの測定はデータ信頼性を下げる可能性が高かったため、解析に用いるデータの測定にはウエスタンブロットを用いることとした。 ウエスタンブロットにより、PI3K-Akt経路、糖新生酵素、グリコーゲン代謝酵素、脂質代謝酵素など、インスリンシグナル伝達経路上の27分子のタンパク質量とリン酸化量を測定した。前年度のトランスクリプトーム測定同様、ウエスタンブロットデータもグルコース負荷後0分(負荷なし), 20分, 60分, 120分, 240分の時系列で取得した。 測定した時系列データに階層的クラスタリングを行い4つのクラスタに分類した。その結果、2つの増加性のクラスタと2つの減少性クラスタにわかれた。増加性の2クラスタはどちらも20分で一過的な増加を見せた。一方で減少性の2クラスタは20分から240分にかけて持続的な減少を見せた。増加性の2クラスタはインスリン受容体とその下流分子のリン酸化が含まれた。前年度のトランスクリプトーム解析により、コレステロール代謝酵素mRNAがグルコース負荷20分後に一過的増加を示すことが明らかになっている。増加性クラスタに含まれるインスリン受容体とその下流分子のリン酸化も20分一過的増加を見せており、これら分子がコレステロール代謝酵素のmRNA量制御の上流である可能性が示唆された。 また前年度に調整したマウス肝臓サンプルを用いて時系列リピドームデータを測定した。その結果、中性脂質や構成脂質はグルコース負荷による時系列変動があまりないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者は、当該年度の目標であった「プロテオーム・リン酸化プロテオームデータからの有意に変動するタンパク質・リン酸化を同定」を当初の計画からの変更はあったものの、予定期間内に終えた。当初の計画ではデータ取得をMASSにより行う予定であったが、予備実験の結果からMASSでの測定は適していないと判断し、測定手法をウエスタンブロットに変更することにより実現した。また、前年度にトランスクリプトームデータの可視化のために実装した多変量解析のプログラムをさらに改良し、プロテオーム・リン酸化プロテオームデータにも適用した。その結果、肝臓のインスリンシグナル伝達においてPI3K-Akt経路の分子のリン酸化はグルコース負荷20分後に一過的に増加することを見出した。また前年度のトランスクリプトーム解析においてコレステロール合成経路の特徴的な挙動が明らかになったことを受けてリピドームの測定も行っており、当初の計画以上に進展したと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画よりも測定データが増えたことから、ネットワーク再構築法を再検討した。まず再検討に必要な予備データとするために、現時点で測定済みのメタボローム、トランスクリプトーム、リピドーム、インスリンシグナル伝達経路分子のウエスタンブロットデータに対し、グルコース負荷後の各時点での平均値のFold Changeや分散・CVを算出するとともに主成分分析や主成分回帰を行った。
主成分分析において、OGTT後の同じ時間であっても個体間に大きなばらつきがあることが見出された。そこでこの個体間のばらつきの関連度の高い分子をエッジで繋いだネットワークを作成することを試みることとする。関連度の指標には相関と偏相関を使用する。
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