2015 Fiscal Year Annual Research Report
少数細胞RNA-seqを用いた左右軸形成機構の解析
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15J08599
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲森 貴一 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | RNA-seq / RT-qPCR / 左右軸形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
A. 異なる発生ステージ・変異体のクッペル胞上皮の少数細胞RNA-seq:個体間での遺伝子発現のばらつきが大きいことが示唆されたため同一個体のクッペル胞上皮の右と左の遺伝子発現を比較した。この結果4体節期では19個の、9体節期では11個の遺伝子の発現が左右で異なることが示唆された。そしてより早期のクッペル胞上皮の遺伝子発現を見るために0体節期の、pkd1l1の遺伝子発現への影響を見るためにabc変異体(pkd1l1変異体)の9体節期のクッペル胞上皮の少数細胞RNA-seqを行った。そしてabc変異体と野生型との比較によってこの2系統間では、4体節期で約300、9体節期で約1800の遺伝子の発現が統計的に有意に異なっていることが分かった。 B. クッペル胞上皮特異的な遺伝子の探索:これまでに確立した少数細胞単離手法を応用して、運動繊毛を持つ上皮組織である腎菅と内胚葉性上皮組織である腸管などがGFPタンパク質でラベルされたFoxa2:GFP系統を用いて少数細胞RNA-seqの系を確立し、RNA-seqを行った。またRを用いて遺伝子発現標準化手法TCCを含む多量サンプル間の遺伝子発現比較パイプラインを構築した。そして腎管と腸管の遺伝子発現をクッペル胞上皮の各発生ステージの遺伝子発現と比較し、クッペル胞上皮特異的に左右軸形成期を通じて高発現の遺伝子群を同定した。 C. RNA-seqで同定された遺伝子の発現確認:これまでにRNA-seqで同定されたクッペル胞上皮の左右で発現が異なる遺伝子についてRT-qPCRを用いて発現の左右差の確認を行っている。これに加えてこれまでにRNA-seqで同定されたクッペル胞上皮の左右で発現が異なる遺伝子についてクローニングを行い、発現を確認するためのin situ hybridization用のプローブを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたRNA-seqのデータを集めることができ、また新たに構築したパイプラインによって多数のサンプルを解析対象に含めることができるようになった。そしてこれらを用いて左右で発現の異なる遺伝子を同定することができた。これは本研究の目的の第一段階が達成されたことを意味する。さらに腸管や腎管のRNA-seqとの比較からクッペル胞上皮特異的遺伝子の候補群を得ることもできた。そしてこれらの遺伝子の解析を進めることでクッペル胞上皮での左右軸形成機構の一端が明らかにできることが期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
同定した遺伝子の発現をRT-qPCR及びin situ hybridization法によって確かめ、確かめられたものはモルフォルノオリゴの顕微注入による発現阻害でその機能を確かめる。左右軸形成への関与が確かめられたのちは各遺伝子ごとの機能に応じて、遺伝子の可視化やpkd1l1との相互作用の確認などを行う。 またこれまでに得られたRNA-seqデータについては時系列での比較など、これまでに行っていない解析を行うことで同定された遺伝子の機能推定の補助とする。
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