2016 Fiscal Year Annual Research Report
小分子ノンコーデイングRNAを介した植物病原細菌の病原性発現制御機構の解明
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15J08652
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡野 夕香里 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 植物病原細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までに解読した、植物病原細菌が発現しているRNAの配列を細菌ゲノムにマッピングした。その結果、全リードの内、約4-12%が細菌ゲノムにマッピングされた。その内約96-97%がrRNAまたはtRNAにマッピングされ、残りの3.5-3.8%がそれ以外の領域にマッピングされた。この、rRNAまたはtRNA以外にマッピングされるリードについて、5'末端が共通する位置にマッピングされたリードが3本以上ある箇所をRNA転写開始点として、ゲノム全体の転写開始点を解析したところ、231箇所が特定された。次にこれらの転写開始点を4つのカテゴリー(mTSS、iTSS、asTSS、oTSS)に分類した。mTSSはORFの上流500塩基以内にORFと同じ向きに存在する転写開始点、iTSSはORF内部にORFと同じ向きに存在する転写開始点、asTSSはORF内部にORFと反対向きに存在する転写開始点、oTSSはmTSS、iTSS、asTSSいずれにも属さない転写開始点である。その結果、mTSSは82箇所、iTSSは88箇所、asTSSは31箇所、oTSSは30箇所特定された。このうち、asTSSについて下流にORFの存在が推定されないことから、転写されるRNAはノンコーティングRNA(小分子RNAを含む)と考えられた。また、oTSSについては、30箇所の転写開始点の内、24箇所が下流にORFが推定されなかったことから、ノンコーディングRNAが転写されていると考えられた。asTSSとoTSSを合わせると、231箇所の転写開始点の内、59箇所から転写されるRNAがノンコーディングRNAであると考えられた。以上より、ゲノム全体でノンコーディングRNAが数多く転写されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ノンコーディングRNA関連の発現解析に時間を要しているため、当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
転写開始点の上流配列解析により、植物病原細菌の遺伝子制御ネットワークを明らかにする。
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