2016 Fiscal Year Annual Research Report
中国殷代社会構造の研究-青銅器と玉器の生産・流通を中心に-
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15J08964
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 舞 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 中国考古学 / 殷 / 青銅器 / 青銅器銘文(金文) / 製作技術 / 鋳造 / 生産 / 印紋硬陶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の第2年次度は、青銅器の生産研究を中心に、次の4点を行った。 (1)殷代青銅器の実見調査:2016年6月に、米国プリンストン大学博物館(プリンストン)及びメトロポリタン美術館(ニューヨーク)にて、殷周青銅器の実見調査を行った。2016年7~8月及び2017年1月に、台湾・中央研究院歴史語言研究所にて、殷墟青銅器及びその銘文の実見調査を行った。殷代青銅爵約20点分を調査・実測し、主に鋳型製作法に関する観察を行った。現在、その観察結果をもとに、論文を執筆中である。また、日本国内では2016年7月・9月に、泉屋博古館(京都市)にて殷周青銅器の実見調査を行った。その成果は、2016年11月に開催された日本中国考古学会2016年度京都大会にて、「レプリカ法を用いた銘文製作法研究の試み」として、ポスター発表済である。その後同年12月に行った継続調査と合わせ、現在論文を執筆中である。(2)殷周青銅器の製作実験:2016年7月・12月に富山大学、2017年2月に芦屋釜の里(遠賀郡芦屋町)で行われた中国古代青銅器の復元実験に見学した。これらを踏まえ、2017年3月には、富山大学にて、殷代青銅器銘文を対象とした原型製作実験を実施した。その研究成果は今後報告できるように、目下整理中である。(3)著書の出版:一昨年提出した博士学位論文をもとに、それに加筆・修正を行ったものを、単著として出版する予定である。出版に際しては、東京大学の学術成果刊行助成金を得ている。(4)長江流域盤龍城遺跡出土硬陶に関する研究:2014年12月に行った国際会議報告をもとに、海外誌(中国)へ論文を投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに行っている研究内容は、当初の研究計画のうち、青銅器の生産部分に偏りがある。そのため、自己評価は「やや遅れている」と判断した。しかしながらその一方で、青銅器生産に関する研究は、国内外での実見調査、図面や観察メモの作成など、当初の予定よりかなり深く幅広いものとなっている。また、3Dスキャンデータ解析といった新たな研究法の開拓を進めることができた。また、今年度行った研究は青銅器製作の中でも、銘文製作にやや偏るものの、著書1冊を出版、論文2本(ともに海外誌)を執筆、学会報告6件(うち3件は国際会議での報告)を行った。これらは皆今年度の成果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果は、当初設定した研究課題のうち、殷の中心地域における青銅器生産に関するものに偏った。次年度は、流通のあり方や地方型青銅器の生産研究へ踏み込みたいと考えている。
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Research Products
(8 results)