2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J09055
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 圭介 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 隠れたフロー / 人為的撹拌 / Digital Elevation Model / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
「全球データを用いた人為的撹拌に関する研究」は人間活動が誘発した人工的な地形改変に着目した研究であり,隠れたフロー(統計データによる把握が困難な,資源の採掘などに伴い発生する土石やバイオマス資源)を含む人為的撹拌の定量化を行った. 現代社会での生活は大量の資源・エネルギーを消費する一方,建築物にはマテリアルストックとして,大量の建材(コンクリート,砂利,セメント,鉄,ガラスなど)が蓄積される.これらマテリアルストックの有効利用が着目される中,「どこに,どれだけ」のマテリアルストックが分布しているか把握する重要性は高い.そして,大量のマテリアルストック・フローの背景には,膨大な量の資源採掘,隠れたフローが存在する.特に,隠れたフローは統計データでは把握が困難なため,地形改変から隠れたフローを推計することで,マテリアルストックフロー分析の基盤データの構築が可能となる. 特別研究員(DC1)の一年目の研究成果として,日本全域における人為的撹拌および隠れたフローの推計が行われ,人為的撹拌地形の解析により自動抽出に関する手法を確立し,年次計画に示されたよう十分な成果が達成された.日本国内の土石系資源の採掘に伴う隠れたフローを定量化し,その空間分布を明らかとした.本年度の研究進捗より,研究フローおよび手法が確立され,地球全域での人為的撹拌の推計が容易となったといえる.同時に,二・三年目においても年次計画で記された以上の研究の進捗が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「全球データを用いた人為的撹拌に関する研究」の1年目の研究実施状況について,主たる研究内容として数値標高モデル(DEM)を用いて日本全域の人為的撹拌量の定量化を行い,同時にその空間分布を明らかとした.そして,統計で把握される土石系資源の採掘量と人為的撹拌量の比較を行うことで,日本の隠れたフロー(統計上での把握が困難な資源採掘や土地造成に伴い発生・廃棄するバイオマス,表土,捨石などの物質量)の潜在量を示すとともに,単位面積あたりの採掘量(m3/m2)やstripping ratio (廃棄量:採掘量)を算出した. これらの研究成果を1.国際論文2本投稿,2.国内論文1本受理(共著),3.国際学会・国内学会発表(7件)にて発表するとともに,特別研究員(DC1)申請時の年次計画を達成することができた. はじめに,国際論文1(The Journal of Industrial Ecology)では,DEMと衛星画像を用いた目視判別により,日本全国の人為的撹拌を抽出し定量化を行った.採掘地の地表面の変化を詳細に分析することで人為的撹拌の特徴(標高・傾斜角・傾斜方向ヒストグラム分布の大幅な変化)を明らかとした.また,推計結果と統計データとの比較により潜在的な隠れたフロー,単位面積あたりの採掘量(m3/m2)やstripping ratio (廃棄量:採掘量)を示した. 次に国際論文2(Resources, Conservation and Recycling)ではDEMより作成した標高変化・傾斜角変化・傾斜方向変化をもとに,階層構造分析およびクラスター分析を行うことで人為的撹拌の自動抽出モデルを構築した.そして,単位年・面積あたりの採掘量(m3/m2・年)を計算することで人為的撹拌と自然的撹拌(erosion)の撹拌速度を比較し,人為的撹拌の地形変化に対する影響,自然環境への影響(environmental pressure)の数値化を行った.本手法の構築により,地球全域を対象とした人為的撹拌の推計を効率的に行うことが可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
人為的撹拌の自動抽出手法を確立したのちは,地球全域の人為的撹拌の推計を行い,その際に対象範囲の地理的条件に応じてパラメーターを変化させる必要があると思われる,現状では,隠れたフローとDE(Domestic Extraction)の定量的な関係性を重視してきたが,また,人為的撹拌の中でも宅地造成や,インフラ造成に伴う地形改変量の定量化を行うことで,人間活動によるlandscape consumption(景観破壊)や自然環境の改変量を示すことができると思われる.三年目の研究にむけて,人間活動と人為的撹拌の定量的かつ空間的な関係性を示すための基盤データの構築を行う.
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Research Products
(7 results)