2016 Fiscal Year Annual Research Report
高機能多元金属ナノ粒子触媒および高効率酸化反応系の開発
Project/Area Number |
15J09227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 健人 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 金-パラジウム合金ナノ粒子 / タンデム酸化反応 / 脱水素芳香環形成反応 / 単純脱水素反応 / N-置換アニリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「高機能多元金属ナノ粒子および高効率酸化反応系の開発」を目標と定め、(i) 触媒調製、(ii) 触媒のキャラクタリゼーション、(iii) 触媒反応 (酸化反応系の開発) を3本の基軸として、高機能多元金属ナノ粒子およびそれらを用いた高効率酸化反応系の開発を行っている。 今年度(研究2年度)においては、Au-Pd/TiO2触媒が、シクロヘキシルアミンを原料に、酸化剤を一切用いることなくジアリールアミンを与える、タンデム型アクセプターレス脱水素芳香環形成反応に高い活性を示すことを見出した。この反応では、(i)アニリンとシクロヘキサノン、(ii)シクロヘキシルアミンとシクロヘキサノン、(iii)ニトロベンゼンとシクロヘキサノールといった種々の組み合わせの基質を用いることもでき、非常に幅広いジアリールアミン合成が可能である。 これらの成果は、英国王立化学会の権威ある査読付きジャーナルであるChemical Communications誌、Catalysis Science & Technology誌、およびChemical Science誌に掲載されており、特に1つ目の論文は該当巻 (2015年, 51号, 81巻) の Outside Front Cover に採択され、有機合成化学分野の最新論文のうち特に重要だと判断された論文を紹介するSYNFACTS誌においても取り上げられるなど、国内外で高い評価を得ている。 現在では、これまでに得られた知見に基づいてさらなる高機能触媒および新規反応系の開発を行っており、翌年度以降も研究の展開が大いに期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄でも述べている通り、本研究では (i) 触媒調製、(ii) 触媒のキャラクタリゼーション、(iii) 触媒反応 (酸化反応系の開発) を3本の基軸として、高機能多元金属ナノ粒子およびそれらを用いた高効率酸化反応系の開発を行ってきた。実際に、Au-Pd合金ナノ粒子触媒の調製法を確立し、その詳細なキャラクタリゼーション、およびそれら触媒を用いた新規酸化反応系の開発までを一貫して行った。これらの成果は、既に査読付き論文として英国王立化学会の権威あるジャーナルであるChemical Communications誌、Catalysis Science & Technology誌、およびChemical Science誌に掲載されている。したがって本研究は当初の計画以上の進展を見せていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度・2年度においては、Au-Pd合金ナノ粒子触媒 (Au-Pd/Al2O3、Au-Pd/TiO2) によるタンデム型脱水素芳香環形成反応をの開発を行ってきた。この研究の中で得られた種々の知見をフィードバックしさらなる高機能触媒および新規酸化反応系の開発を行う。ターゲット反応としては、複数の酸化反応ステップをワンポット中で一挙に進行させる「タンデム酸化反応」、非芳香族化合物の分子内脱水素反応により芳香族化合物を生成する「脱水素芳香環形成反応」、酸化剤を一切用いずに基質の水素原子を水素分子として引き抜く「アクセプターレス脱水素反応」、C-H (またはX-H) 結合同士を直接結合させる「酸化的クロスカップリング」といった、高難度酸化反応を目標とする。
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Research Products
(5 results)