2016 Fiscal Year Annual Research Report
第3世代の閉塞性肺疾患モデルを用いた新規創薬ターゲットの探索及びその評価
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15J09420
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
亀井 竣輔 熊本大学, 生命科学研究部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 閉塞性肺疾患モデル / 亜鉛輸送 / lncRNA / 炎症・過剰粘液産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで採用者は,本分野が確立した閉塞性肺疾患モデルマウスである第2世代βENaC-Tgマウス(C57BL/6-βENaC-Tg)から見出した,亜鉛トランスポーターZIP2のスプライシング異常に関しての解析を行うと同時に,トランスクリプトーム解析から見出した非コード長鎖RNA(lncRNA)に関する検討を行ってきた.今年度は,これら分子や現象の詳細なメカニズム解析を中心に検討を行った. ①ZIP2およびZIP2のスプライシングバリアント(ΔC-ZIP2)の機能解析を行った結果,ΔC-ZIP2が亜鉛輸送やZIP2の機能非依存的に,βENaCの転写や活性を亢進することを明らかにした.βENaCの機能亢進が閉塞性肺疾患病態形成のイニシエーターであることを踏まえると,本発見は閉塞性肺疾患病態増悪機構の一つであることが示唆される。 ②昨年度,病態モデルの気道上皮細胞を用いた全転写産物解析(トランスクリプトームアレイ)から,病態特異的に発現上昇するlncRNAを同定した.このlncRNAの機能解析の結果,ある1種類のlncRNAが,TLR2発現上昇を介して,炎症応答を亢進することを明らかにした.TLR2は閉塞性肺疾患時に発現・機能が亢進するという知見と併せると,lncRNAとTLR2の相互作用は,閉塞性肺疾患の炎症病態メカニズムの一端であると考えられる. なお,本年度は第2世代βENaC-Tgマウス(C57BL/6-βENaC-Tg)および第3世代βENaC-Tgマウス(βENaC-Tg / SMP30 KOマウス)における閉塞性肺疾患病態の誘導に関する論文を投稿し,受理された(Sci. Rep. 2016).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熊本地震の被害の中,これまでの研究成果に加えて,ZIP2やlncRNAによるユニークな病態制御機構を明らかにするなど,研究を大きく進展させた.またこれまでの研究成果の一部を,Scientific Reports に報告することができた. その一方で,本年度予定していた第3世代βENaC-Tgマウス(βENaC-Tg / SMP30 KOマウス)を用いた上記事象の検討や創薬研究が,繁殖が難航し,実施できなかったため,上記の評価である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,これまでの検討を踏まえ,ΔC-ZIP2によるβENaCの転写亢進メカニズムの解明を行う.また,ZIP2過剰発現時の細胞内亜鉛量の調節機構に関して検討を行った際に,気道上皮の亜鉛量調節には複数の亜鉛トランスポーターが関与することが示唆されたため,これら亜鉛トランスポーターのsiRNAスクリーニング等を行い,ZIP2を含めた気道上皮の亜鉛量調節因子の同定を行う.なお,これらの結果は次年度中の論文投稿・受理を目指す. lncRNA-TLR2の相互作用に関しては,そのメカニズム解明と同時に,その他のlncRNAがどのように閉塞性肺疾患病態に関与するかを検討予定である.こちらに関しても,次年度中の論文投稿・受理を目指す. また,今年度難航した第3世代βENaC-Tgマウスでの評価も実施する.
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Pharmacological and genetic reappraisals of protease and oxidative stress pathways in a mouse model of obstructive lung diseases2016
Author(s)
T. Shuto, S. Kamei, H. Nohara, H. Fujikawa, Y. Tasaki, T. Sugahara, T. Ono, C. Matsumoto, Y. Sakaguchi, K. Maruta, R. Nakashima, T. Kawakami, MA. Suico, Y. Kondo, A. Ishigami, T. Takeo, K. Tanaka, H. Watanabe, N. Nakagata, K. Uchimura, K. Kitamura, JD. Li, H. Kai
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 39305
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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