2017 Fiscal Year Annual Research Report
ゼニゴケを用いた新しい相互作用タンパク質探索技術の開発
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15J09907
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中(坪山) 祥子 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2019-03-31
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Keywords | ゼニゴケ / 形質転換 / タンパク質間相互作用 / アグロバクテリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本技術で用いる、トゲオキヒオドシエビ由来ルシフェラーゼNanoLucのPCA (Protein-fragment Complementation Assay)法であるNanoBitがゼニゴケにおいて機能するかを確認する必要があるため、ポジティブコントロールのモデル実験としてホモダイマーを形成するMXMTタンパク質、ゼニゴケ由来青色光受容体フォトトロピン(MpPHOT)およびヘテロダイマーを形成する FKBP-FRB相互作用を用いて検証を行う予定であった。そのため、それぞれのタンパク質とLgBitまたはSmBitが融合するようなコンストラクトを作成し、形質転換ゼニゴケを作出した。同様に、ネガティブコントロールのモデル実験としてLgBit, SmBitのみを発現させるようなコンストラクトを作成し、形質転換ゼニゴケを作出した。形質転換ゼニゴケを作成後、発光検出器を用い、MXMTとNanoBit融合タンパク質を発現する形質転換体で発光を確認できた。今後は引き続きモデル実験の検証を進め、その後スクリーニングに向けたBaitとPreyの作成を行う。 また、本技術はスクリーニングに用いるため、高効率な形質転換技術が求められる。そのため、昨年度に引き続き形質転換法の改良を行った。アグロバクテリウムとの共存培養期間に着目し、改良を加えたところ、ゼニゴケ株BC3-38, Tak-2由来無性芽でほぼ100%の形質転換効率を達成した。今回の改良で、スクリーニングに用いるために充分に高効率な形質転換系の確立が完了したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポジティブコントロール用コンストラクト(pMpGWB303-LgBit-MXMT, pMpGWB103-SmBit-MXMT, pMpGWB303-LgBit-MpPHOT, pMpGWB103-SmBit-MpPHOT, pMpGWB303-LgBit-FRB, pMpGWB103-LgBit-FKBP)を作成し、ゼニゴケ無性芽を材料に二重形質転換を同時に行った。また、ネガティブコントロールとしてLgBit, SmBitのみを発現させるコンストラクト(pMpGWB303-LgBit, pMpGWB103-SmBit)を作成し、同様に二重形質転換体を作出した。まず、MXMT, MpPHOTとNanoBitの融合タンパク質を発現する二重形質転換体を、発光検出器を用いて解析したところ、発光を確認できなかったため、形質転換体を作成し直すこととした。再作成では、まずLgBit-MXMTを発現する形質転換ゼニゴケを作出し、その形質転換体を材料にSmBit-MXMTを形質転換して、二重形質転換体を作成した。発光検出機を用いて解析したところ、いくつかの形質転換体で発光が確認された。 また、本技術では高効率な形質転換が必須であり、昨年度から形質転換法の改良を行っている。改良ではゼニゴケ株BC3-38由来無性芽を用いて、共存培養時の①湿度条件、②アグロバクテリウムの菌株、③界面活性剤の添加、④明暗条件の検討を行った。これらの改良点を他のゼニゴケ株Tak-1, Tak-2由来無性芽に応用し、①アグロバクテリウムの菌株、②前培養の再検討を行った。これらの最適化により形質転換効率はTak-1由来無性芽で約30%から約60%に改善し、BC3-38由来無性芽、Tak-2由来無性芽ではほぼ100%の形質転換効率を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
MXMTの相互作用によるNanoBitでルシフェラーゼの活性を確認できたため、今後MpPHOTやFKBP-FRB、ネガティブコントロールの検証を行う。 また、ルシフェラーゼは形質転換体による個体差が大きいため、今後はルシフェラーゼのPCA法の他、蛍光タンパク質のPCA法であるBiFC法も用いることとする。ルシフェラーゼを用いたPCA法と異なり、BiFC法は一度結合すると乖離しない、また、定量ができないという欠点はあるものの、蛍光顕微鏡下で植物体を生きたまま観察できる利点を持つ。蛍光タンパク質は植物で有効であるsfGFPを用い、NanoBitの場合と同様に、MXMT, MpPHOT, FKBP-FRBタンパク質をポジティブコントロールとして用いる予定である。 その後は、スクリーニングに用いるための、Preyである均一化したcDNAライブラリーの作成や、Baitの作成を進めていく。
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Research Products
(6 results)