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2015 Fiscal Year Annual Research Report

一酸化炭素結合型ヘモグロビン小胞体を基盤とした難治性膵臓疾患の包括的治療戦略

Research Project

Project/Area Number 15J09957
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

永尾 紗理  熊本大学, 薬学教育部, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2015-04-24 – 2018-03-31
Keywords膵炎 / 一酸化炭素 / リポソーム
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、未だに薬物治療が発展していない膵臓に対して、一酸化炭素結合型ヘモグロビン小胞体(CO-HbV)の包括的な治療応用の可能性を追求することを目的としている。以下に本年度の研究により得られた知見をまとめる。
1、セルレイン誘発急性膵炎モデルマウスの作製と、CO-HbVの有用性評価
マウスにセルレインを腹腔内へ投与することにより、急性膵炎が誘発されていることを血中アミラーゼおよび血中リパーゼの急激な上昇により確認できた。また、このことはHE染色による組織学的評価からも裏付けられた。そこで、作製したモデルに対するCO-HbVの有用性を評価するために、CO-HbVを尾静脈内投与し、血中アミラーゼおよびリパーゼの測定と、HE染色による組織学的評価を実施した。CO-HbVはいずれの評価においても急性膵炎を抑制している傾向が確認できた。現在その指摘投与量や投与タイミングについて評価を行っている。

2、コリン欠乏エチオニン(CDE)食誘発急性膵炎モデルマウスの作製と、CO-HbVの有用性評価
マウスにCDE食を負荷することで急性膵炎の作製を試みた。本モデルは、先のセルレインにより誘発したモデルと比較して重症であることが予想され、致死性のモデルであると考えられる。実際にCDE負荷により、致死性のモデルが作製でき、この時、血中アミラーゼおよびリパーゼの上昇も伴っていたことから、モデルの作製に成功したと考えられた。また、回収した血液サンプルを用いて、肝臓・腎臓の障害マーカーについても測定を行い、加えて、肺組織の浮腫についても評価したところ、いずれにおいても、モデル群での障害悪化と、CO-HbV群での障害抑制を認めた。以上のことから、CO-HbVは急性膵炎における膵臓への障害を抑制するのみならず、膵炎に伴う多臓器への障害も抑制することが確認できた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、一酸化炭素の多彩な生物活性を制御し、臨床応用に向けたデリバリーシステムとして、ヘモグロビン小胞体をキャリアとした一酸化炭素結合型ヘモグロビン小胞体(CO-HbV)を作製し、難治性の膵臓疾患に応用する挑戦的な内容である。一年度目の計画としては、急性および慢性膵炎モデルマウスを用いて、CO-HbVの有用性を評価する内容であった。急性疾患モデルについては、病態モデルとしての妥当性を評価し、それに対する治療効果や作用機序解明の一部にも踏み込んでおり、予定以上の成果が得られている。特に、三年目に計画していた急性膵炎を起点とした多臓器不全に対する有効性にまで、踏み込めた点は高く評価できる。研究結果も多臓器不全に対して障害軽減効果が実証されており、本製剤の適応範囲を拡大できる可能性を示した。その一方で、予定していた慢性疾患モデルに対する検討は実施できていない。これは、病態モデルの作製が確立できなかったことに起因している。慢性疾患モデルの場合、急性疾患モデルに比べて、一回の検討に費やす時間が長く、条件検討が効率良く行われなかったためと推察される。この点に関しては、当初計画に検討項目を盛り込みすぎたことも一因である。

Strategy for Future Research Activity

採用第二年度目は、当初の研究計画に従って、CO-HbVによる膵炎抑制メカニズムの解析を、特にCOが有する抗炎症作用や抗酸化作用に焦点を絞って行いたい。続いて、CO-HbVによるマクロファージ(MΦ)の可塑性制御について検証すべく、膵臓から単離したMΦのsubset分布について表面提示分子を指標とし、フローサイトメトリー(FACS)で同定する。また、障害された細胞や活性化MΦから産生されるHMGB1が、TLR-4やRAGEなどの受容体に対する基質となり炎症を促進すると考えられるため、この一連の炎症カスケードに着目し、CO-HbVがMΦの活性化を抑制するか否か、関連分子の発現量や活性をWestern-blottingやFACSによって網羅的に評価する。さらに慢性膵炎においては、一年目に実施することが出来なかったため、モデルの作製から取りかかり、有用性評価を行ったのち、当初予定していたメカニズムの解析にも着手したい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2015 Other

All Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 炎症性腸疾患に対する一酸化炭素結合型ヘモグロビン小胞体の有用性評価2015

    • Author(s)
      永尾 紗理
    • Organizer
      第22回日本血液代替物学会年次大会
    • Place of Presentation
      熊本大学(熊本・熊本)
    • Year and Date
      2015-10-22 – 2015-10-23
  • [Presentation] 一酸化炭素結合型ヘモグロビン小胞体は抗炎症・抗酸化作用を介してブレオマイシン誘発肺線維症を抑制する2015

    • Author(s)
      永尾 紗理
    • Organizer
      第23回クリニカルファーマシーシンポジウム/医療薬学フォーラム2015
    • Place of Presentation
      名古屋国際会議場(愛知・名古屋)
    • Year and Date
      2015-07-04 – 2015-07-05
    • Invited
  • [Presentation] 炎症性腸疾患に対する一酸化炭素結合型ヘモグロビン小胞体の有用性評価2015

    • Author(s)
      永尾 紗理
    • Organizer
      日本薬剤学会第30年会
    • Place of Presentation
      長崎ブリックホール(長崎・長崎)
    • Year and Date
      2015-05-21 – 2015-05-23
  • [Remarks] 薬剤学研究室 ホームページ

    • URL

      http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/Yakuzai/

URL: 

Published: 2016-12-27  

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