2015 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス由来物質の選択的転換反応に向けた機能性固体触媒の開発に係る研究
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15J10050
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
城取 万陽 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 固体塩基触媒 / Layered double hydroxide / SiO2 |
Outline of Annual Research Achievements |
Layered double hydroxide (LDH)は,固体塩基触媒としてエポキシ化,エステル交換反応,アルドール縮合,マイケル付加反応など種々の有機反応に活性を示す他,バイオマス由来糖類からの各種基礎化合物合成への応用が期待されている。一方,層状構造を有するLDHの活性点は表面層やエッジ部分に限定されるため,層中の活性サイトを反応に利用できない欠点がある。そこで,研究代表者はSiO2表面へのLDH微結晶の構築による活性サイト数の向上を狙い,新規高機能LDH触媒(SiO2@LDH)の調製・活性評価,及びバイオマス由来物質の転換反応への応用方法についての提案を行ってきた。 直径約40 nm,比表面積 >1000 m2 g-1の球状SiO2共存下で共沈法にてMg-Al, Ni-Al, Mg-Ga型LDH (SiO2-40nm@LDH)を調製し,ベンズアルデヒドとシアノ酢酸エチルのクネーフェナーゲル縮合をモデル反応とした塩基触媒活性評価を行ったところ,SiO2-40nm@LDHは従来のLDHに比べ1.5~2.4倍速い反応速度を示した。各種キャラクタリゼーションの結果,SiO2-40nm@LDHは(i) 小さい結晶子を有すること,(ii) 塩基量が増加すること,(iii) LDHを構成する金属量当たりの見かけのTOFが2~4倍程度増加することが認められた。また,29Si CP-MAS NMR測定から,SiO2-40nm@Mg-Al LDHでは約70%のSiがMg又はAlとの化学結合を形成していることがわかった。以上の結果から,球状SiO2共存下での共沈法によるLDH合成では,結晶成長の初期段階で金属イオンがSiO2上に化学結合することで結晶成長の起点が高分散化され,結晶子の小さい,従来よりも高い塩基量を有するLDHが生成すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,主にSiO2@LDH触媒の調製法の確立及び形状・結晶構造解析,塩基濃度測定等のキャラクタリゼーションと,塩基触媒活性との関連付けを予定していた。【研究実績の概要】項で述べたように,これまでに従来よりも高活性なSiO2@LDH触媒の調製に成功し,結晶子サイズやSiO2-LDH間の化学的相互作用を考慮することで活性向上の要因を突き止めてきた。以上の理由から,"SiO2@LDH触媒の調製法の確立と各種キャラクタリゼーション"に関しては当初の計画通り実験が進行していると判断した。 また,併せて予定していた"SiO2@LDHと固体酸触媒を組み合わせた糖類転換反応への応用"については,次年度に"SiO2@LDH触媒を基にした機能性ハイブリッド固体表面の開発"と並行して行う予定である。これは、逐次的に種々のSiO2@LDHを糖類転換反応に応用するよりも,SiO2@LDHを基にした新規触媒系の展開をある程度進めておき,各種触媒の酸・塩基触媒機能等を熟慮した上で糖類転換反応に適用する方が効率的に研究を進展できると判断したためである。 以上の理由から,現在までの進歩状況はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行に当たって最も基本となるSiO2@LDHの調製法を確立できたため,今後はSiO2@LDH上への第二活性点の付与を予定している。具体的には,金属ナノ粒子やLewis酸機能を持つ金属酸化物の担持,コアとなるSiO2への官能基の導入を想定している。調製した新規ハイブリッドSiO2@LDH系触媒について,酸・塩基性評価や形状・結晶構造解析と各種キャラクタリゼーションを行う。同時に,それらの触媒を糖類転換反応に応用し,従来よりも少ない触媒量で機能する効率的バイオマス由来物質転換反応の実現に着手する予定である。
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Research Products
(4 results)