2015 Fiscal Year Annual Research Report
セリン含有ペプチドの位置選択的解裂によるペプチド短縮反応
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15J10436
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早阪 茉奈美 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 人工セリンプロテアーゼの創製 |
Outline of Annual Research Achievements |
基質一般性の検証及び獲得を目指し検討を行った。セリン残基の両側に種々のアミノ酸残基を持つ鎖状ペプチド を用いて脱セリン化反応を行った。具体的には、すでに脱セリン化反応を観察しているテトラペプチドに準ずるテトラペプチドを19種類全て合成し(セリン由来のR 以外を持つ)、脱セリン化反応の一般性と特異性を検討した(R=i-Prについては検証済)。しかし、19種類のアミノ酸の検討を進めていく中で反応の再現性をとるための条件が非常に厳しいものであることがわかった。そのため、もとの基質であるテトラペプチドによる条件検討を行った。具体的には、基質の純度や操作手順等の見直し行ったが、最適条件を見出すことは非常に難しいということがわかった。 そこで、原点に立ち返りセリンプロテアーゼに関与とすることが分かっているFicuseptine Bの合成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基質一般性の検証及び獲得を目指し検討を行った。しかし、19種類のアミノ酸の検討を進めていく中で反応の再現性をとるための条件が非常に厳しいものであることがわかった。また、再現性をとるに当たって種々検討を重ねたが常時同等の結果を得ることができず、難しいことがわかった。しかし、この原因については不明である。
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Strategy for Future Research Activity |
Boc2Oによる化学選択的かつ位置選択的なアミドNH基へのBoc化の検討を中止し、セリンの認識の精度を上げるため触媒のリガンド及びエステル基の検討を行うこととした。そこで、がんDNA転写メカニズムにセリンが関係することから抗がん作用を示す天然物を触媒に導入することで強力な分子認識を持たせることができるのではないかと考えた。リガンド候補として、抗癌活性を有するtylophorine (7)をターゲットとすることとした。7は1935年にTylophora indicaから単離されたアルカロイドで(Indian J Med Res 22: 433-442)、その作用は、強力な細胞障害活性を示し、作用機序が既存の抗腫瘍剤とは異なる。また、類縁体であるFicuseptine Bは、7より強い抗癌活性をもちCOX-2阻害による抗腫瘍性を持つ化合物である。がん発生は、IkBキナーゼによるIkBのセリン残基 (Ser32, 36) リン酸化を受け、ユビキチン化を経てNF-kBはIkBから離れてDNA転写をする。Fig. 2に示すような抗癌活性をもつ化合物をリガンドとすることで、IkBのセリン残基と特異的に水素結合し脱離させることができれば転写を抑制できると期待し、今後新しいリガンドの合成を進めていく。
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