2015 Fiscal Year Annual Research Report
近接覚・すべり覚に基づくロボットハンドの知能化に関する研究
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15J10533
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小山 佳祐 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 高速・ソフトタッチでの把持 / Time-to-contact / 物体表面の変形検出 / 柔らかさ識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,物体に近づけるだけで自律的に把持を行う知的ハンドの開発を目的とする.これは,ハンドに搭載した近接覚,および触・すべり覚センサに基づく反射動作系によるものである. 把持においては,動作が高速であることと,ハンドや対象物に余分な力や変形を加えない制御が必要である.そこで本年度は,1)高速・ソフトタッチでの把持制御,2)物体表面の変形検出と柔らかさ識別の2つの研究を進めた. 1)高速・ソフトタッチでの把持制御:近接覚センサの出力は,対象物表面の反射特性に依存する欠点があった.よって,対象物の表面性状が未知の場合,接触するまで指先を制御し続けることができないため,高速,かつソフトタッチでの把持は実現できていなかった.そこで反射特性に依存しない情報「TTC:Time-to-contact」の抽出,および,TTCを用いたハンド指先の速度制御を提案した.これは,生物の衝突検知情報処理にヒントを得たもので,ハンド制御への応用は初の試みである.把持実験より,りんご,バナナ,サンドイッチ,プラスチック製のおもちゃ等の様々な表面性状の物体に対し,ダメージを与えない把持を達成した. 2)物体表面の変形検出と柔らかさ識別:ハンドが取り扱う対象物の中には,食品やケーブルのように,把持することで表面や全体の形状が変化するものがある.これらにおいては,表面の変形を検出し,ハンド指先の押し込み量や,把持位置を調整する必要がある.そこで,近接覚センサで把持後の対象物の表面変形を計測する実験を行った.実験結果より7種類の対象物の柔らかさ識別が可能であることが分かった.また,柔らかさ識別を利用することで,比較的変形の大きな対象物(風船)を傷つけずにピックアップすることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自律的に把持動作を生成するための制御方式,センシングについて研究が進んだため,おおむね順調に進展している. 把持では非接触と接触,両方の状態を扱う必要があるが,非接触では1)高速・ソフトタッチでの把持制御によりハンド制御が可能であり,接触後は2)表面変形の検出と柔らかさ識別により対応できる.特に,近接覚センサの欠点であった対象物ごとの影響を受ける点を解決したため,人間の生活環境にある一般的な物体の把持にも挑戦できるようになった点は非常に重要である.
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Strategy for Future Research Activity |
指先部の近接覚センサによる1)ハンドとアームの同時制御と2)表面変形検出の追加実験を行う. 1)ハンドとアームの同時制御では,ハンド初期位置・姿勢ずれによる把持失敗を避けるために,アーム手先位置・姿勢制御を検討する.具体的にはすでに実現したハンド制御則に加えて,ハンド関節角の限界を補うアーム制御を新たに導入する予定である.そして,実験により許容できるハンド初期位置・姿勢誤差の範囲を調べる. 2)表面変形検出の追加実験では,柔軟な指先の変形を利用した操り動作を実現するために,すべり覚センサカバーを比較的柔らかいものに変更して,センサ出力を観察する.これまでは,物体表面の変形のみに主眼を置いてきたが,今後は指先表面の変形にも注目することで,対象物表面,および指先表面の変形に基づく把持・操り制御の実現を目指す.
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Research Products
(8 results)