2015 Fiscal Year Annual Research Report
経口免疫寛容における制御性T細胞サブセットの機能解明と食品成分による調節
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15J10545
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芝原 恭子 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 経口免疫寛容 / 制御性T細胞 / ケモカインレセプター / 濾胞ヘルパーT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
経口免疫寛容の誘導においては、抗原特異的な制御性T細胞(Treg)が重要な役割を持つと考えられている。しかしながら、制御性T細胞のどのような機能が重要なのか未だ明らかでない。そこで、本研究では経口免疫寛容誘導時の抗原特異的T細胞をサブセットに分画して、その機能を詳細に解析した。なお、未感作状態の抗原特異的T細胞はほとんどCD62LhighCD44lowT細胞(62Lhigh細胞)であるが、経口免疫寛容誘導時の抗原特異的T細胞はCD62high/intCD44intおよびCD62LlowCD44high T細胞(62Lintおよび62Llow細胞)として分画されることを当研究グループで明らかにしている。62Lintおよび62Llow細胞の遊走活性を解析した結果、62Llow細胞はケモカインレセプターの一種であるCCR6を介して腸管に遊走する可能性が示唆された。また、62Lint細胞については抗原刺激によって62Llow細胞に変化することが示唆された。以上の結果は、62Lintおよび62Llow細胞が生体内で異なる機能によって経口免疫寛容の誘導に寄与することを示唆している。また、これらの細胞について解析する中で、経口免疫寛容の誘導時に濾胞へルパーT細胞(Tfh細胞)が誘導されることが明らかとなった。経口免疫寛容において誘導されたTfh細胞によって、IgAおよびIgG抗体産生が誘導されることが示唆された。今後は62Llow細胞が腸管に移動して免疫応答を抑制するのか、また経口免疫寛容で誘導されたTfh細胞が他の免疫応答で誘導されるTfh細胞と同様の機能を持つのか実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の実験計画にあったFoxp3-CD2マウスの導入は見送ったが、Foxp3発現による分画を行わなくとも、62Lintおよび62Llow細胞において機能の違いを確認することができた。この結果を複数の学会で発表した。また、実験の過程で経口免疫寛容においてTfh細胞が誘導されることが確認された。以上のことから、順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
62Lintおよび62Llow細胞に引き続き着目して、その機能が経口免疫寛容の誘導に重要かどうか解析を行う。平成27年度には62Lint細胞が62Llow細胞に分化することを明らかにしたが、62Llow細胞のみでは経口免疫寛容を維持することができないのか解析を行う。また、62Llow細胞について、腸管に遊走した後、免疫応答を抑制しているのか、さらにどのような細胞をターゲットとしているのか解析を行う。平成27年度の実験で見出した、経口免疫寛容に伴って誘導されるTfh細胞については、他の免疫応答で誘導されるTfh細胞と同様の機能を持つのか解析を行う。
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Research Products
(2 results)