2016 Fiscal Year Annual Research Report
超分子リビング重合に基づく革新的超分子ポリマーの開発とその応用
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15J10660
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
KANG JIHEONG 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | コランニュレン |
Outline of Annual Research Achievements |
超分子ポリマーの精密重合ならびに、高靱性・自己修復能 を有したエラストマー開発を行った。 コランニュレンというお椀状π共役分子に導入したアミド基が形成する分子内水素結合と、それを利用したコランニュレンの光学分割に関して研究を行った。通常π共役分子に対称にアミド基を導入すると、分子間で水素結合を形成し、超分子ポリマーが形成される。コランニュレンのお椀構を利用することで、適切な条件下では分子内水素結合を速度論的に優先できることを実証し、非極性溶媒中でも単量体として単離できることがわかった。また側鎖に不斉点を導入することで、コランニュレンのキラリティーを偏らせられることを見いだした。 さらにコランニュレンをモノマーとして、新たに開発した開始剤を組み合わせることで、連鎖重合型超分子重合を実現した。また不斉炭素を導入した開始剤を用いることで、得られるポリマー内でコランニュレンのキラリティーを100%選択できることを示し、立体選択的超分子重合を実現させた。 加えて、水素結合型超分子ポリマーを利用し、高靭性と自己修復能を両立したエラストマーを開発した。強度の異なる二種類の水素結合を共存させることで、弱い方の水素結合が犠牲結合として働き、高靱性を実現できることがわかった。絶縁性の高いポリジメチルシロキサンをベースに設計することで、フレキシブルエレクトロニクスへ応用が期待できる。 結論として、分子設計戦略を工夫することで超分子重合・超分子ポリマーの可能性を拡張させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この研究は偶発的に発見した結果ではなく、いかに合理的にデザインするかに主眼が置かれ、その結果得られた分子であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた分子設計指針は他の材料設計にも貢献が期待され、今後の材料科学の発展に大きく寄与することが見込まれるため。
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