2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J10804
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
MENDBAZAR OYUNTULGA 奈良大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | モンゴル国 / 草原 / 飽和水蒸気 / 草原の出土木製品 / 保存処理 / トレハロース / エタノール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、早急な保存処理が必要な有機質遺物、特に木製品に関して、その特徴(樹種や用途)、状態(乾燥・凍結)ごとに、日本の技術を応用してモンゴル独自の保存修復方法を確立して普及させ、木製文化財を歴史学研究に利用できるようにすることである。 飽和水蒸気で満たされて発見される草原地帯の出土木材を発掘現場で効率的に保存する方法として、高濃度のトレハロース水溶液にエチルアルコールを添加して表面張力を下げた水溶液を現場で含浸する方法を提案した。発掘現場において短時間で使用できるこの方法は、草原地帯で発見される多くの木製品に適用できる可能性がある。 モンゴルの出土木製品は飽和水蒸気環境で埋蔵されていたために、飽水状態で発見される日本の出土木製品と比較して含水量が少なく、出土後に極めて短時間で乾燥してしまうという特徴がある。また、トレハロース水溶液は、浸透し結晶化することにより強化でき、温度の低い環境下で結晶化しやすい特徴がある。 モンゴルの草原では飽和水蒸気に満たされた地下空間から発見される出土木製品が出土直後に極度に乾燥した環境に曝されるので発掘後短時間で変形の危険がある。特に木材の表面に近い部分は細胞壁の劣化が激しく、水分の蒸発によって変形や崩壊が起こる。このような木材に対して、表面張力を下げて浸透力を高めた高濃度のトレハロース水溶液を浸透させることによって、トレハロースが木材内部で結晶化してすることで変形やひび割れなどを防ぐ可能性が高いことが分かった。草原地帯の寒暖差の激しさはトレハロースの結晶化を促進するために有効であることも判明した。乾燥気候や低温度下の気候を特徴としたモンゴルでも出土木製品を安定的に維持できる可能性が芽生えてきた。環境に優しく“安価”で“簡易に安全に作業”でき、“短期間”で行えるトレハロースを用いた含浸処理法が、モンゴルの環境で最も期待できる結果となった。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)