2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J10812
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前原 都有子 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
|
Keywords | 喘息 / プロスタグランジン / 好酸球 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はPGD2の合成酵素欠損マウスと、PGD2の受容体欠損マウスを用いてPGD2の喘息への関与を検討した。 卵白アルブミンであるOVAを長期間に経鼻投与した喘息モデルを作成した。OVA投与により野生型マウスでは、好酸球の浸潤や炎症性サイトカイン上昇を伴う肺機能の低下が見られた。一方で、PGD2合成酵素欠損マウスでは野生型マウスに比べ、顕著な好酸球浸潤や炎症性サイトカイン、好酸球遊走因子の発現上昇を伴う肺機能の低下が見られた。さらに気管支上皮の顕著な破壊や粘液の過剰産生も観察された。以上の結果よりPGD2は喘息の慢性期において喘息悪化因子であることが明らかとなった。 次に、これらの病態に関与する受容体を明らかにした。 喘息の初期ではCRTH2受容体欠損マウスで、肺機能の低下、好酸球の浸潤が認められなかった。一方でDP受容体欠損でマウスでは、野生型(WT)と同程度の肺機能の低下と好酸球浸潤が認められた。喘息の慢性期では、すべてのマウスにおいて、急性期よりも顕著な好酸球浸潤や、肺機能の低下が認められた。CRTH2欠損マウスとWTでは同程度の好酸球浸潤を伴う肺機能の低下が見られたが、DP受容体欠損では、より顕著な好酸球浸潤を伴う肺機能の低下が認められた。これらの結果より、喘息の初期にはPGD2/CRTH2シグナルが喘息悪化を促進し、慢性期ではPGD2/DPシグナルが喘息抑制因子として働くことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に記載してあるとおりに、今年度はPGD2の各受容体欠損マウスを用いて、どの受容体が喘息のどの段階に関与しているのかを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はPGD2が喘息の時にどのように上皮保護作用を示すのか、関与する受容体の種類や、受容体発現部位を病理学的な解析を行う。また、粘液産生にどのようにはどの細胞が産生するPGD2が重要であり、どの細胞に発現している受容体に作用し、どのシグナルが関与しているのか、病理学的な解析および、ウエスタンブロッティングを行い検討する。 さらに、マウスのおよび人の喘息患者の尿を用いて、喘息マーカーの探索を行う。まず、LC/MSMSを用いて喘息モデルマウスの尿を用いて、脂質の網羅的解析を行う。そこで、喘息特異的な脂質を検出することができたら、その結果をもとに喘息患者の尿を用いて、選んだ脂質が人の喘息患者でも特異的に検出できるか検討する。その際に喘息特異的であることを示すために、食物アレルギーとアトピーの患者の尿を用いて喘息特異的であることを示す。
|
Research Products
(4 results)