2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J10829
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 祐一郎 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 曲率ゆらぎ / ハイブリッドインフレーション / 原始ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
私は前年度までにインフレーションによって生成される曲率ゆらぎを非摂動的に計算する手法を提唱してきた (arXiv:1308.4754, 1405.2187)。本年度はそれを用いてハイブリッドインフレーションの臨界点付近で作られる曲率ゆらぎを計算し、それによって重い原始ブラックホールができる可能性を模索した。結果ハイブリッドインフレーションにおいてはパラメータによらず重い原始ブラックホールはむしろ作られ過ぎてしまい、そのような可能性は棄却されることがわかった (arXiv:1512.03515)。これらの結果は、国際会議 LeCosPA International Symposium やイタリアの Padova 大学、フランスの IAP のセミナーで発表し、国内でも物理学会や、京都および KEK 等のセミナーで発表した。また前年度に行った、原始ブラックホールに対するバイアス効果の研究について、その結果を国際会議 COSMO-15 で発表するとともに、国内物理学会でも発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究ではハイブリッドインフレーションに関して統一的な理解を非摂動的に得ることができた。これはこれまでに予想し得なかった成果である。また国際会議 COSMO-15 で知り合った Portsmouth の Vennin 博士研究員と、上述した非摂動的手法についての研究を始めるきっかけを作ることができ、現在共同研究が進行中である。すなわち本年度の研究によって国際的コミュニティに参加する1つの足がかりができたということである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上述したように Vennin 博士と非摂動的手法についての共同研究を進めるとともに、宇宙線研究所の川崎教授およびカブリ数物連携機構の柳田教授と、具体的に原始ブラックホールを作ることができるインフレーション模型を構築していく予定である。また宇宙線研究所の修士2年の猪又さんとはビッグバン元素合成から曲率ゆらぎに制限をかける研究を進めているところである。
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Research Products
(5 results)