2015 Fiscal Year Annual Research Report
よりよい生をもたらすデス・エデュケーション方法の開発と効果モデルの構築
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15J10901
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石井 僚 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 死 / 時間的展望 / アイデンティティ / 青年期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に実験的なデザインを用いて、青年が死について考えることの効果に影響を及ぼす要因について検討を行った。複数の死について考える課題を作成し、それらの課題の種類を操作して死について考えることの効果を検討したところ、青年のアイデンティティ・ステイタスによって、効果を持つ課題の種類が異なることが示された。研究成果については、日本発達心理学会第27回大会において発表を予定している。 また、死について考えることの効果に影響を及ぼす要因として時間的指向性に着目して検討を行った。初めに、時間的指向性に関する概念整理を試み、新たな尺度の作成を行った。研究成果は、青年心理学研究および名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要に論文が掲載された。次に、その内の1つである時間意識が、死について考えることの効果に及ぼす影響について検討を行った。その結果、現在意識が、死について考えることの効果に影響を及ぼすことが示された。この研究成果については、Time & Societyに論文が掲載された。以上の研究は、デス・エデュケーションの実践へと進んでいくために必要不可欠な、効果の個人差について検討されたものであり、死について考える青年の意識過程を明らかにするものである。 この他に、時間的展望とアイデンティティ形成プロセスとの関連について検討を行った。その結果、アイデンティティの感覚の高低によって、その各形成プロセスと時間的展望との関連が異なることが示された。研究成果は、The 14th European Congress of Psychologyにおいて発表し、発達心理学研究に論文が採択された。この研究は、死について考えることの効果や、その個人差要因として着目してきた時間的展望と、青年期の発達課題とされるアイデンティティとの関連について言及するものであり、今後の研究遂行に寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、実験によるデータの収集、および質問紙によるデータの収集を行い、おおむね当初の予定通り研究は進捗している。研究成果についても、海外査読付き論文誌に1報、国内査読付き論文誌に2報、所属大学の紀要に1報、合計4報の論文が採択された。また、国際学会において2報、国内学会において1報の研究発表を行っており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ここまでに取得したデータの学会発表および論文化と並行して、「よりよい生に着目したデス・エデュケーションの効果モデルの構築」(研究計画書中の研究2)の実施と学会発表および論文化を、当初の予定通り進めていく。 研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点などは特にない。
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