2016 Fiscal Year Annual Research Report
超冷中性子重力束縛状態のナノ精度測定による近距離重力検証・未知相互作用探索
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15J11161
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河原 宏晃 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 中性子検出器 / 超冷中性子 / 原子核乾板 / 位置分解能 / 中性子捕獲反応 / 重力 / 未知相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
超冷中性子が反射ミラー上で地球の重力ポテンシャルに束縛された量子状態を観測し、その波動関数の空間分布を精密測定することを目的として、超微粒子原子核乾板を用いた中性子検出器を開発した。大きな中性子吸収断面積を持つ物質と原子核乾板を組み合わせた検出器構造を検討し、申請時に計画したリチウム添加型の検出器に加え、ホウ素を含む薄膜を用いた構造の検出器を開発した。 リチウムを用いた中性子検出器は、乳剤への硝酸リチウムの添加による作成手法を確立した。実験用原子炉を用いて熱中性子の照射実験を行い、リチウム6の中性子捕獲反応から生じるα線とトリチウム線の飛跡検出が可能であることを実証した。加えて、大強度陽子加速器施設において超冷中性子の照射実験を行い、検出効率が期待通り得られることを確認した。飛跡の点列の線密度から中性子反応点に対する位置分解能を算出し約400nmを達成していると結論した。 2016年度にはホウ素型の検出器の作成手法を確立した。基板上に形成したホウ素を含む薄膜で中性子捕獲反応を発生させることで、乳剤の歪みの影響を最小限に抑え、リチウム型に比べ高い位置分解能が期待できる。当初は、ガラス製の基板上にホウ素の薄膜を蒸着し、その上に原子核乳剤を塗布して検出器を作成した。ホウ素10の中性子捕獲反応から生じるα線とリチウム線の選出に成功した。しかし、薄膜中のホウ素が乳剤中に溶出し、反応点を正確に決定する上で問題になった。またこの問題の対処のために導入したニッケルカーボンの蒸着膜は、乳剤膜の剥がれを生じることがわかった。試行錯誤の末、炭化ホウ素、ニッケルカーボン、カーボン、ゼラチン、原子核乳剤の順に膜を形成することで剥がれの生じない安定な検出器の作成に成功した。この検出器の検出効率、位置分解能の評価を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画したリチウム型の中性子検出器の開発を完了した。検出器の位置分解能、中性子に対する検出効率の評価を完了し、期待通りの性能が得られていることを実証した。 加えて、リチウム添加型の検出器に比べ位置分解能が高く、解析の簡略化が可能と期待されるホウ素薄膜型の中性子検出器を立案し、検出原理の実証と検出器構造の最適化が完了した。性能評価を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ホウ素薄膜型の中性子検出器について、位置分解能と反応検出効率を評価した結果をまとめる方針である。大強度陽子加速器施設J-PARCにおいて検出器に超冷中性子を照射し、顕微鏡観察によって評価を行う。これに伴い、原子核乾板の自動読取装置を用いて画像取得を行い、画像解析による飛跡検出と反応点の自動決定プログラムを開発する。
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Research Products
(4 results)