2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15J11279
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 崇貴 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | スプライト化学 / サブミリ波衛星観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
スプライト化学が地球大気組成に与える影響についての研究において、世界で初めての報告である、スプライト放電により増大した化学種(HO2)の直接観測についての研究成果を論文にまとめている。これまでの研究では、モデル計算によるスプライトの大気組成への影響が見積もられ成層圏・中間圏の窒素酸化物組成のバランスへの影響が注目されてきたが、放電反応における加速電子のエネルギー分布や持続時間・衝突断面積の不確実性が大きく、実際にどのような変動があるのかは未だわかっていない。現在執筆中の論文では超電導サブミリ波リムサウンダ(SMILES: Super-Conductive Submillimeter-Wave Limb Emission Sounder)による、水素酸化物ラジカル(HO2)のスプライトによる増大の観測結果と共に、その反応メカニズムや奇数酸素類バランスへの影響を検討している。 衛星測器を用いた大気組成のリモートセンシング観測には放射伝達の理解や、分子の物理状態の理解が必要であり、現在、放射伝達の計算コードとnon-LTE (non-Local Thermodynamic Equilibrium)モデルの構築を行っている。それらを、惑星大気観測ミッションや、スプライト等のLTE状態から逸脱すると考えられるイベント等に応用できるようにし、より詳細な大気放射伝達現象に関わる物理過程の理解ができるようにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
送れている理由は論文の執筆に因る所が大きいと考えられる。SMILESのサブミリ波高感度観測によるスプライトの直接観測の結果を論文に投稿後、他衛星観測を用いたグローバル観測に発展していく予定であったが、執筆に遅れがあるため、研究にもやや遅れを生じている。 しかし論文の執筆で遅れることにより、より多く科学について考える機会が増えているので、これからより質の高い研究ができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
論文執筆で後れを取っているので、同時に進めることができる研究を行っている。スプライトについてだけでなく、自分の研究の基本となる衛星観測シミュレーター、惑星大気での分子の物理状態を理解するための非局所平衡モデルの構築を同時に行うことで、スプライト観測の研究の理解をより深くしていき、論文執筆後、より質の高い研究を行えるようにする。
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Research Products
(2 results)