2015 Fiscal Year Annual Research Report
核酸塩基対形成に基づく外場応答性金属錯体集積体の創成
Project/Area Number |
15J11333
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
仲谷 学 熊本大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 金属錯体 / コバルト / 核酸塩基 / 共結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目(27年度)は主に、目的とした金属錯体の構造解析および基礎物性評価を主に行った。 アデニンおよびチミンを導入したターピリジンコバルト錯体の単結晶の作成および構造解析を行った。アデニンを導入した場合はアデニン部位の水素結合を介した1次元構造、チミンを導入した場合はチミン部位の水素結合を介した2次元構造を取っていた。これにより、本錯体において核酸塩基の違いが錯体の集積構造に影響を与えているということが分かった。また、磁化率測定において両錯体ともほぼ同様のスピンクロスオーバー特性を示した。さらに、それら2種類の錯体を混ぜ合わせ得られた複合化合物においても単結晶を得ることに成功した。 通常、有機物などにおいては複数の化学種を含む「共結晶」は多く報告されている。しかし、金属錯体においては、異なる種類の錯体を混ぜ合わせた場合、それぞれの錯体の溶解度や相互作用などにおいて相違点があるため、同一結晶内に2種類以上の錯体を含む「共結晶」として得ることは難しい。 本研究においては、核酸塩基対形成の選択性や塩基対での相互作用の強さを利用することで、非常に珍しい2種類以上の錯体の共結晶を得ることに成功した。核酸塩基を導入することの重要性についても、粉末X線回折、MSスペクトル測定等で確認した。また、共結晶として得られた複合錯体の磁化率は、元の2種類のものとの違いが観測された。 本研究において、核酸塩基の導入は金属錯体を共結晶化させるうえで重要な、「互いの錯体間に強い分子間相互作用を形成する」役割を担っているということが分かった。これは、今までに非常に例の少ない金属錯体の共結晶化の分子設計に役立ち、さらには多機能性材料を目指す上での有用な設計指針の一つになりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類の核酸塩基(アデニンおよびチミン)を導入したコバルト錯体の結晶構造解析に成功した。また、それら核酸塩基の重要性を示しつつ、2種類の錯体の複合化に成功した。これは、今までに非常に例の少ない金属錯体の共結晶化の設計指針になりうる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から核酸塩基が重要な役割を示すことは分かった。しかし、ターピリジンコバルト錯体は、共結晶化におけるスピンクロスオーバー特性の変化を観測することに不向きであることが分かった。そこで、対象とする錯体の種類を変更し、研究課題に沿って研究を進めていく。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Crystal structure of bis[4'-(1,4,7,10-tetraoxa-13- azacyclopentadecan-13-yl)-2,2':6',2''-terpyridine]cobalt(III) tris(perchlorate) methanol monosolvate monohydrate2015
Author(s)
H. Ohmagari, M. Nakaya, R. Ohtani, M. Nakamura, S. Hayami
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Journal Title
Act. Crys., E
Volume: 71
Pages: 997-999
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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