2016 Fiscal Year Annual Research Report
照射波長によって選択性が変化する新奇な光触媒の合成とそれによる物質変換反応
Project/Area Number |
15J11412
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
中西 康介 近畿大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 光触媒 / 物質変換反応 / 還元反応 / 酸化チタン(IV) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、照射波長によって反応選択性の異なる新奇な光触媒を調製し、それを用いた紫外光、可視光、赤外光(熱エネルギー)照射下における各種化学選択的還元反応を行うことを目的としている。 <具体的内容> 本研究課題の重要テーマの一つである化学選択的還元反応において、新規な光触媒的物質変換反応として、「パラジウム(Pd)担持TiO2によるフランの水素化反応」に成功した。これはPdや白金で反応が進行し、金や銀では進行しないことから、金属の特性が影響していると考えられる。この反応では90%以上の収率で目的物を得ることができた。この研究成果はInternational Symposium on Nanostructured Photocatalysts and Catalystsにて発表し、Excellent Poster Presentation Awardを受賞した。また、2種の金属を共担持し、反応特性を検討したところ、それぞれ単一の金属担持TiO2では進行しない反応が進行することを見出した。 <意義・重要性> 以上の結果より、金属担持TiO2の光触媒作用によって、フランを水素化することができた。また、金属を組み合わせることで反応特性を変化させることができた。この研究によって、研究課題にとって重要な光触媒的物質変換反応に対する経験・ノウハウを得ることができ、照射波長によって反応選択性の異なる新奇な光触媒を利用した物質変換反応の達成に近づいたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において重要な光触媒を利用した“グリーンな”物質変換系の開拓のために、酸化チタン(IV)(TiO2)光触媒の還元反応を利用する物質変換系の構築を検討した。その結果、新規な光触媒的物質変換反応として、「パラジウム(Pd)担持TiO2によるフランの水素化反応」に成功し、この研究成果はInternational Symposium on Nanostructured Photocatalysts and Catalystsにて発表し、Excellent Poster Presentation Awardを受賞した。また、2種の金属を共担持し、反応特性を検討したところ、それぞれ単一の金属担持TiO2では進行しない反応が進行することを見出した。 以上からおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した目的達成のため、現在調製しているPd@Au-WSC-Agを用い、各種物質変換反応を検討する。具体的には、波長の違う光(紫外光、可視光、赤外光(熱))を利用した物質変換反応を検討する。Pd@Au-WSC-Agのキャラクタリゼーションは引き続き行っていき、光触媒特性はモデル反応などを利用して検討を行う。
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