2015 Fiscal Year Annual Research Report
特殊な分子濃縮技術を利用する分子集合ナノ繊維への硬質支持体の導入および機能付与
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15J11530
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡﨑 豊 熊本大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 分子集合体 / ナノ繊維 / キラル配向ナノテンプレート / 誘起キラリティ / 円偏光発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の計画通り、両親媒性グルタミド誘導体の合成と、それらの集積構造の評価を中心に研究を進めた。今回、親水部としてピリジニウム基、アミノ基、カルボキシル基を有する両親媒性グルタミド誘導体を合成した。これらの化合物の会合体の構造をTEM観察、分子の集積構造をDSC、UV-visおよびCDスペクトル測定を用いて評価した結果、相転移温度(Tc)以下ではキラルな配向構造を有する分子集合ナノ繊維を形成していることが確認された。また、親水基にピリジニウム基を有する両親媒性グルタミド誘導体(G-Py+)においては、ピリジニウム基特有の吸収帯260 nm付近においてコットン効果が観測された。 また、G-Py+が形成する分子集合ナノ繊維への機能付与を目指し、発光性分子であるピレンやアントラセンの局所濃縮を試みた。G-C2-Py+が形成するキラルな分子集合ナノ繊維にピレンやアントラセンを取り込ませることにより、モノメリックな発光性分子にCDおよび円偏光発光(CPL)特性を誘起させることに成功した。これは、アキラルかつ官能基を持たないシンプルな多環芳香属に、複合化させる(混ぜる)だけでCPLを誘起する初めての例であり、この結果は当初の予想を上回る結果となった。 以上の通り、本年度は当初の計画にしたがって、各種両親媒性グルタミド誘導体の合成とそれらの集積構造評価を行った。さらに、多環芳香族分子の局所濃縮による、分子集合ナノ繊維への発光特性付与に関する調査を行った。外部への研究報告については、学術論文3報および国内外の学会発表7件にて発表している。とくに、第45回繊維学会夏期セミナーでの若手優秀ポスター賞受賞や、学会誌Chemistry Lettersに発表した論文が優秀論文(Editor’s Choice)に選ばれる等,本年度の研究評価が高く評価されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画の達成に加え、キラルな分子集合ナノ繊維に複合化させる(混ぜる)だけで、アキラルかつ官能基を持たないシンプルな発光性分子にCPLを誘起するという、当初の予想を上回る結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の研究計画に従い、フィルムの作製及びその評価を中心に研究を進める。また、本年度得られた結果である、複合化させる(混ぜる)だけでCPLを誘起する系について、より詳細な調査を進める。
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