2015 Fiscal Year Annual Research Report
どんな子どもとでも遊べるロボット:性格と認知的構えのダイナミクスの解明と応用
Project/Area Number |
15J11597
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
阿部 香澄 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
|
Keywords | 知能ロボット / HRI / 子ども / 認知科学 / 性格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は,様々な性格や認知的構えをもつ子どもと遊べるロボットの実現である.本研究では,人間が相手とやりとりする際,相手からの同じ働きかけを受けても,その人の現在の認知的構えに応じてその報酬価が変化し,個人の性格はこの認知的構えの初期値を規定する要因であると考える.そこで,多様な他者への対応策として,ロボットが子どもの性格を推定し,性格に基づくその子どもの認知的構えの特徴を把握した上で,認知的構えを良い状態に維持する適切な遊び行動を実行する,という仕組みを実現する. 1.仕組み実現のためのデータ解析:本年度は,ロボットとのやりとり中における子どもの振る舞いからその子の性格を推定できる可能性を示した.ロボットが対話の初期に性格推定できれば,その後の遊びの中で子どもに適した行動を選ぶことが可能となる.そこで,これまでに実施した子どもとロボットの遊び実験のデータから,最初の10分間の子どもの振る舞いを特徴量とし,分類精度6~8割で子どもの性格を識別できることを確認した. 2.遠隔操作ロボットシステムの開発:1で用いた実験データ数は不十分であるが,前ロボットシステムは,サイズ,安全性,操作性の点から追加実験が容易でない.そこで,子どもと遊ぶことに特化した小型の遠隔操作ロボットを開発した.ロボットは,幼児に対して安全で,身体的に遊べ,不慣れな人であっても容易に遠隔操作できる仕様とした.来年度はこのロボットで子どもとの実験を行う. さらに,開発したロボットの育児支援としての可能性にも着目し,育児支援としてのロボットの開発やアウトリーチ活動にも力を入れ,成果を出した.特に,育児支援ロボットの開発に関しては,外部資金(JSTのSTART)を獲得するなど精力的に行い,多くのマスコミの取材などを受け,研究成果の社会応用に向けて期待以上の進展があった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は主に,性格と認知的構えを考慮したロボットの行動決定モデルの構築に向けたデータ解析であった.このモデルは,ロボットが子どもの性格を推定し,性格に基づくその子どもの認知的構えの特徴を把握した上で,認知的構えを良い状態に維持する適切な遊び行動を実行する,というものである.これに対し,性格に応じた効果的な遊び行動の存在と,ロボットとの最初の10分間の振る舞いから子どもの性格を推定できる可能性を示せており,研究は目標に対しておおむね順調に進んでいる.
|
Strategy for Future Research Activity |
実施計画のうち,開発したロボットでの子どもとロボットの遊び実験のみ今年度実施することができなかった.この項目を来年度に実施する.
|