2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J11812
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 千恵 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 古地磁気強度 / 花崗岩 / 単結晶 / ジルコン / 石英 / 斜長石 |
Outline of Annual Research Achievements |
100万年スケールの地球磁場変動は地球深部ダイナミクスと深い関わりがある。しかし、磁場強度の変動は、逆転頻度の変化などの古地磁気方位に関する情報と比較してよくわかっていない。花崗岩は、冷却時間が長く地球磁場の短周期の変動を平均化して記録していることから、地球史を通した古地磁気強度の変化を明らかにするための試料として適していると考えられる。また近年、全岩を用いた測定の際にしばしば問題となる風化・変質の影響や粗粒な磁性鉱物の存在による測定の困難さを回避できる場合があることから、石英や長石、ジルコンといった鉱物単結晶を用いた古地磁気研究が行われている。これらの試料を用いることは特に太古代などの古い時代の古地磁気強度を研究する上で重要であるが、いまだ研究例は多くない。 本研究では、鉱物単結晶を用いた古地磁気強度の信頼性を評価するため、全岩の古地磁気・岩石磁気情報が既知である花崗岩試料(福島県阿武隈山地、100 Ma)から分離したジルコン、石英、斜長石に対し種々の磁気測定及び古地磁気強度測定を行っている。本年度は、鉱物単結晶を用いた古地磁気強度測定のための手法開発及び各鉱物の基本的な古地磁気測定を行った。測定の結果から、ジルコンに含まれる磁性鉱物はピロタイトが主体であると推定され、この試料のジルコンは古地磁気強度測定に適さないことがわかった。石英はジルコンと同様、有意な磁化を持つ試料は非常に少ないものの、全岩と類似したブロッキング温度分布を示し、初生磁化成分を持つ試料もあった。斜長石には単磁区―擬単磁区サイズの微細なマグネタイトが含まれることがわかった。これは、斜長石中から離溶によって生成したマグネタイトであると考えられる。斜長石を用いて低温消磁・真空2回加熱Shaw法(Yamamoto et al., 2003)による古地磁気強度測定を行い、全岩と調和的な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉱物単結晶で古地磁気強度測定を行うための技術開発を行った。また、各鉱物に対して系統的に古地磁気・岩石磁気的な測定を行った。その結果、当初計画していたジルコンは古地磁気強度測定に適さないことが判明した。斜長石を用いて古地磁気強度測定を行ったところ、バルク試料と整合的な結果が得られた。よって、単結晶を用いた古地磁気強度測定に向けた準備はほぼ完了しているといえる。これらの内容をまとめ国内学会及び国際研究集会で発表を行った。以上のことから、着実に研究は進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き阿武隈花崗岩から分離した斜長石及び石英の古地磁気強度測定を行う。結果を全岩の文献値と比較し、論文にまとめ投稿する。その後、前年度に試料採集を行った丹沢花崗岩について同様に鉱物ごとの岩石磁気測定及び古地磁気強度測定を行う。
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Research Products
(1 results)