2015 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋幹細胞を主点とした骨格筋を含む多臓器ネットワークの解明
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15J11847
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 尚基 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 骨格筋幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は骨格筋幹細胞である筋衛星細胞の未分化性維持機構に注目し、不均一な筋衛星細胞の集団から、一部の真の幹細胞を単離/同定し、その分子的な背景を明らかにすることを目的とした。同定された骨格筋幹細胞およびその分子背景を元に、骨格筋幹細胞の未分化性維持と筋肥大・筋萎縮との関連を明らかにし、最終的な骨格筋幹細胞を主点とした骨格筋と他臓器との相関を明らかにする。 申請者は骨格筋幹細胞を単一筋線維単離法もしくはFluorescence-activated cell sorterにより調製し、アセトキシメチルエステル体蛍光色素を用いて、細胞内エステラーゼ活性を主点としたより上位の骨格筋幹細胞分離法を確立した。これらの細胞の性質をin vivoで評価するため、細胞内エステラーゼ活性の違いにより分離した筋衛星細胞の移植効率を解析した。その結果、細胞内エステラーゼ活性が低い骨格筋幹細胞のみが、非常に多くの筋線維を形成することがわかった。このことから、骨格筋幹細胞の未分化性と細胞内エステラーゼ活性との間に相関性があることがわかった。 また、細胞内エステラーゼ活性の違いにより分離した各骨格筋幹細胞の分子的な背景をゲノムワイドな網羅的遺伝子発現解析およびマイクロRNA解析により明らかにした。その結果、細胞内エステラーゼ活性が上がるにつれ、骨格筋幹細胞の分化が促進されていることがわかった。同時に、細胞内エステラーゼ活性の違いにより制御され、その未分化性維持機構および分化促進機構に関係するターゲット遺伝子群を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はアセトキシメチルエステル体蛍光色素を用いて骨格筋幹細胞を分離し、その細胞のin vivoでの評価およびその分子背景の解析を目的とした。当初の目的どおり、分離した細胞をマウスに移植する事でin vivoでの評価を行い、また分離した細胞のゲノムワイドな網羅的遺伝子発現解析およびマイクロRNA解析を行った。これらの結果から細胞内エステラーゼ活性が上昇するにつれて、骨格筋幹細胞の分化が促進されること、およびその未分化性維持機構および分化促進機構に関係するターゲット遺伝子群を同定したため、同研究計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、gain-of-functionもしくはloss-of-functionにより、同定されたターゲット遺伝子が筋衛星細胞の未分化性維持においてどのような機能を有しているか検討する。またgene knock down細胞、過剰発現細胞を免疫不全マウスであるNOD-Scid、もしくは筋ジストロフィーモデルマウスであるmdxマウスに移植することで、その機能をin vivoにおいても検討する。また移植細胞により形成された筋を解析することにより、筋衛星細胞の未分化性維持と筋肥大・筋萎縮との関連を明らかにする。必要に応じ、同定された遺伝子を欠損した遺伝子改変マウスを用いることで、ターゲット遺伝子の発生段階からの機能を解析する。
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[Journal Article] A muscle-liver-fat signalling axis is essential for central control of adaptive adipose remodeling.2015
Author(s)
Noriaki Shimizu, Takako Maruyama, Noritada Yoshikawa, Ryo Matsumiya, Yanxia Ma, Naoki Ito, Yuki Tasaka, Akiko Kuribara-Souta, Keishi Miyata, Yuichi Oike, Stefan Berger, Gunther Schutz, Shin’ichi Takeda, Hirotoshi Tanaka.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 6
Pages: Article 6693
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] G-CSF supports long-term muscle regeneration in mouse models of muscular dystrophy2015
Author(s)
Nozomi Hayashiji, Shinsuke Yuasa, Yuko Miyagoe-Suzuki, Mie Hara, Naoki Ito, Hisayuki Hashimoto, Dai Kusumoto, Tomohisa Seki, Shugo Tohyama, Masaki Kodaira, Akira Kunitomi, Shin Kashimura, Makoto Takei, Yuki Saito, Shinichiro Okata, Toru Egashira, Jin Endo, Toshikuni Sasaoka, Shin’ichi Takeda, Keiichi Fukuda.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 6
Pages: Article 6745
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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