2015 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーによる小胞体の選択的分解の分子基盤と生理機能の解明
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15J11855
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
持田 啓佑 東京工業大学, 生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | オートファジー / 小胞体 / 核 / 出芽酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは栄養飢餓などで誘導される、細胞内成分の大規模な分解システムである。オートファゴソームと呼ばれる膜胞が分解対象を包み込み、リソソームあるいは液胞と融合することで内容物が分解される。オートファジーは、オルガネラなどの特定の細胞内成分に対しては選択的な分解を担う。オートファジーを介した小胞体(ER)の分解機構(ERファジー)の存在が示唆されていたが、その詳細は不明であった。これまでに私は、出芽酵母を用いて、ERをオートファジーによる分解へと導く2つのレセプタータンパク質Atg39およびAtg40を同定していた。Atg39は核周囲のER、Atg40は主に細胞質や細胞膜直下のERに存在する膜タンパク質であり、オートファゴソーム膜上のAtg8との相互作用を介して、それぞれが局在するER領域をオートファゴソームに積み込む。さらに、Atg39は核周囲のERを、核内の成分を含む二重膜小胞として分解すること、すなわち、オートファジーを介して核の一部を選択的に分解する機構(ヌクレオファジー)の存在を明らかにした。Atg39の欠失株は窒素飢餓条件において、異常な形態の核が観察され、野生株より早く生存率が低下することから、核周囲のERあるいは核の分解が、飢餓時の細胞の生存に重要な役割を果たすことが示唆された。これらの研究成果はNature誌に掲載された。さらに、Atg39, Atg40のER膜上でのトポロジーを決定し、両者が細胞質ドメインでAtg8と相互作用することなどを示した。また、Atg39およびAtg40が、栄養飢餓やオートファゴソーム形成に依存してER上で集積し、ERと核のオートファゴソームへの積み込みを駆動することを明らかにした。これらの結果は、オートファゴソームの形成と共役して、ER断片や核由来の小胞の形成が起こる可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初想定していなかった核の分解にもAtg39が関与すること、栄養飢餓時におけるERや核の分解の重要性などを明らかにし、論文として報告することができた。ERファジー/ヌクレオファジーの詳細な分子機構の解析においても進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
ERファジー/ヌクレオファジーの誘導に伴う、ERや核の形態変化とその分子機構を、ライブイメージングや電子顕微鏡観察により解析する。Atg39やAtg40と相互作用するタンパク質を探索し、その中からERや核の形態変化を引き起こすタンパク質を特定する。栄養飢餓条件におけるERファジー/ヌクレオファジーの破綻が、細胞にどのような影響を与えるかを調べることで、ERファジー/ヌクレオファジーの生理機能の解析を進める。
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Research Products
(9 results)