2015 Fiscal Year Annual Research Report
ディジタルホログラム技術を融合した大容量ホログラフィックメモリシステムの研究
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15J11996
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
信川 輝吉 和歌山大学, システム工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 光メモリ / ホログラフィ / ホログラフィックメモリ / 計算機合成ホログラム / ディジタルホログラフィ / 干渉計測 / ディジタル信号処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
大容量ホログラフィックメモリの開発を目的とし,ディジタルホログラム技術を導入した光学系の構築,新規のデータ記録手法を実現してきた.具体的には,(1)光波の振幅・位相を情報とする多値記録,(2)機械的動作が不要な多層記録,(3)極小領域にデータを記録する超解像記録,の3つを実験により実証した.以下に(1)から(3)の項目毎に研究成果の概要を示す. (1)光波の振幅・位相を情報とする多値記録:ディジタルホログラフィの光生成・検出技術をホログラフィックメモリに導入することにより,従来システムと同等の大きさの光学系を用いて,光波の振幅・位相をデータとして扱うことに成功した.さらに,本システムを用いて,振幅2値,位相4値の多値信号を誤りなく記録・再生することに成功した. (2)機械的動作が不要な多層記録:ディジタルホログラムの3次元の光波生成技術を応用することにより,空間光変調器の電子的な制御のみで多層記録が実現できること実験により実証した.さらに,本手法の層選択性は,一般的な多層記録法と等価であることをシミュレーションにより明らかにし,レンズの開口数を大きくすることにより,データ層の数を向上可能であることを示した. (3)極小領域にデータを記録する超解像記録:従来のホログラフィックメモリでは,記録面積の縮小に限界がある.本研究では,この限界を打破するために,開口により除去されたデータの情報を復元する超解像ホログラフィックメモリを提案した.原理確認実験により,本手法を用いることで高密度なデータ記録が可能であることを実証した. 以上のように,本研究ではディジタルホログラフィ技術を応用することにより,従来のホログラフィックメモリを超える高密度記録および記録性能の向上が可能であることを明らかにしてきた.今後も光の3次元情報を活用した記録手法・信号処理技術の開発が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,ディジタルホログラム技術を導入したホログラフィックメモリシステムを構築することに成功し,多値記録,多層記録,超解像記録それぞれの有用性を実験により実証した.これらの成果をとりまとめ学術論文および国際学会にて発表している.さらに,中国・アイルランドでの滞在研究を通して,ディジタルホログラフィを用いた偏光分布の制御技術,位相計測技術に関する研究成果を出すことができ,これらをホログラフィックメモリに応用することを検証している.以上から,現在までの到達度は,当初の研究以上に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,多値記録,多層記録,超解像記録それぞれの技術を用いた場合の記録容量向上率を精査し,大容量ホログラフィックメモリの実現に大きく寄与する記録手法を明らかにする.さらに,上述の3つの技術を統合することを検討し,大容量化を図る.また,これまで多値記録に関する研究では光波の振幅・位相のみを情報として扱ってきたが,今後の研究では偏光ホログラフィを導入し,光波の振幅・位相・偏光を情報とする超多値記録技術の研究開発に取り組む.
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Research Products
(13 results)