2016 Fiscal Year Annual Research Report
光学測定による新規熱活性化遅延蛍光材料薄膜の光物性に関する研究
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15J12038
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| Research Institution | Osaka Prefecture University |
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Principal Investigator |
丹羽 顕嗣 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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2015-04-24 – 2018-03-31
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| Keywords | 熱活性化遅延蛍光 / 有機ＥＬ / 光物性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究の目的に従って、当該年度は、（1）ホスト材料が熱活性化遅延蛍光（TADF）材料の励起状態構造に及ぼす影響について調べた。また、（2）発光減衰測定のために時間相関単一光子計数（TCSPC）法を導入し、TADFの励起状態構造について調べた。（1）では、極性ホスト材料を添加することで薄膜の誘電率を増加させ、TADF材料の発光効率を決める重要な物理量である一重項-三重項エネルギー差（ΔEST）を更に小さくできることを、蛍光・燐光スペクトル測定および発光減衰速度の温度依存測定から、見出した。従って、最低次の三重項励起状態（T1）から最低次の一重項励起状態（S1）への熱活性化の促進につながることが分かった。以上よりT1密度を減少させることができ、TADF材料の課題である励起子対消滅過程による発光効率の低下の抑制も期待できる。(2)では、ピコ秒レーザーを用いたTCSPC法によりTADF薄膜における発光ピーク波長での発光減衰波形を測定した。得られた特性を説明するためのTADF材料の励起状態構造として4準位系のモデルを提案した。4準位系のモデルは、基底状態、S1、T1に加えて高次三重項励起状態（TN）準位から成る。このモデルにおいて、各励起状態密度の時間変化は3 つの指数関数の和として表され、3つの発光緩和速度がk1、k2、k3が得られることが分かった。10-10～10-1 sにおける発光緩和速度の温度依存性を上記のモデルによりフィッティングし、k1、k2、k3に対応する緩和速度成分を実測することに成功した。これにより、提案した4準位系のモデルによってTADFの緩和過程が説明できることが分かった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極性ホスト材料を添加することで、TADF材料の発光効率を決める重要な物理量である一重項-三重項エネルギー差（ΔEST）を更に小さくできることを見出し、ホスト材料が励起状態構造に及ぼす影響について明らかにしたため。また、発光緩和速度の温度依存性を提案した4準位系のモデルにより説明し、TADF材料の励起状態構造を明らかにしたため。以上のことから、（2）おおむね順調に進展している、とした。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の全体の研究計画に沿って、引き続きTADF材料における励起状態の緩和過程の解明に向け研究を進める予定である。また、今年度までに得られた評価手法を駆使し、各発光色（青緑赤）を有するTADF材料についても評価を行い、一連のTADF材料について緩和過程を調べる予定である。
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[Presentation] 熱活性化遅延蛍光材料の励起状態構造について2016
Author(s)
丹羽顕嗣, 長谷山翔太, 高木絢生, 小林隆史, 永瀬 隆, 合志憲一, 安達千波矢, 内藤裕義
Organizer
第304回電気材料技術懇談会若手研究発表会
Place of Presentation
菱高商事 保健センター(兵庫県伊丹市)
Year and Date
2016-07-14 – 2016-07-14
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