2016 Fiscal Year Annual Research Report
無線メッシュネットワークのための知的システムの実装と評価
Project/Area Number |
15J12086
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂本 真仁 福岡工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | メッシュルータ配置システム / 最適化 / 施設配置問題 / NP-困難 / 無線メッシュネットワーク / 知的アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は粒子群最適化(Particle Swarm Optimization: PSO)と呼ばれる経験・発見的な手法に基づくアルゴリズムを用いたルータ配置位置最適化システム(WMN-PSO)とネットワークシミュレータであるns-3を統合したシステムの実装とその評価を行った。また、PSOと局所探索法を組み合わせたハイブリッド手法に基づいた知的ハイブリッドシステムの実装を行った。 次世代の無線ネットワークの中で、無線メッシュネットワークは高い頑健性と耐障害性を持たせることが比較的容易なネットワークである。メッシュルータ同士を無線接続する際、メッシュトポロジを形成することにより、あるルータに障害が発生したとしても、迂回経路を自律的に再構築できる。しかし、メッシュルータの配置位置はネットワーク全体の接続性に影響を及ぼすため、メッシュルータの配置位置の決定は重要である。メッシュルータの配置位置の決定は施設配置問題となり、計算複雑性理論の観点からNP-困難と呼ばれる難しい問題である。PSOとは群れのふるまいを模したアルゴリズムであり、個々が発見的に見つけた良好な解の情報を全体が共有しつつ、一定の規則にしたがって探索を行う手法であり、NP-困難な問題に対して有効な手法の一つであることが知られている。またPSOは他の経験・発見的な手法と比べ、パラメータのチューニングが比較的簡単という特徴を有していることで知られている。 WMN-PSOとns-3を統合したシステムでは、スループットや遅延、ジッタといったネットワークの性能指標をルータ配置を最適化する際に考慮することが可能となった。また、PSOと局所探索法を組み合わせた手法に基づいた知的ハイブリッドシステムは、WMN-PSOシステムと比較し、より良い性能を有していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は粒子群最適化(Particle Swarm Optimization: PSO)と呼ばれる経験・発見的な手法に基づくアルゴリズムを用いたルータ配置位置最適化システム(WMN-PSO)とネットワークシミュレータであるns-3を統合したシステムの実装とその評価を行った。WMNテストベッドに関しては、先行研究ですでに実現されていたため、その再現に留まり、新たな業績には至らなかった。しかし、ns-3を統合したシステムの実装以外にも、当初の計画にはなかったが、PSOと焼きなまし法(Simulated Annealing: SA)や山登り法(Hill Climbing: HC)といった局所探索法を組み合わせた手法に基づいた知的ハイブリッドシステムの実装を行った。WMN-PSOシステムでは、まず問題となるネットワークを設計し、そのネットワークをPSOアルゴリズムによってメッシュルータの最適な配置、もしくは準最適な配置を決定する。このWMN-PSOシステムと既存のネットワークシミュレータであるns-3を統合し、WMN-PSOによって導かれる配置位置から、ns-3によってネットワークの各種指標をシミュレートし、WMN-PSOにフィードバックする。また、PSOと局所探索法を組み合わせた手法に基づいた知的ハイブリッドシステムは、WMN-PSOシステムと比較しより良い性能を有していることを現段階で明らかにした。「WMN-PSOシステムとns-3の統合化」を達成できたため、概ね順調に研究が進んでいると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は粒子群最適化(Particle Swarm Optimization: PSO)と呼ばれる経験・発見的な手法に基づくアルゴリズムを用いたルータ配置位置最適化システム(WMN-PSO)とネットワークシミュレータであるns-3を統合したシステムの実装とその評価を行った。WMNテストベッドに関しては、先行研究ですでに実現されていたため、その再現に留まり、新たな業績には至らなかった。しかし、ns-3を統合したシステムの実装以外にも、当初の計画にはなかったが、PSOと焼きなまし法(Simulated Annealing: SA)や山登り法(Hill Climbing: HC)といった局所探索法を組み合わせた手法に基づいた知的ハイブリッドシステムの実装を行った。今後はPSOと局所探索法を組み合わせたハイブリッド手法に基づいた知的ハイブリッドシステムが従来のWMN-PSOシステムより良い性能を有する理由やその根拠を詳しく分析する。さらに、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)とPSOに基づいた知的ハイブリッドシステムの実装を行い、PSOと局所探索法を組み合わせたハイブリッド手法に基づいた知的ハイブリッドシステムとの比較を行う。その際、比較検定手法を用いてシステムの評価及び比較を行う。また、博士論文を書き、学位取得を目指す。
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Remarks |
坂本真仁(研究者本人)のHPです。
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