2016 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外領域に蛍光を示すπ共役系有機蛍光色素の設計と開発
Project/Area Number |
15J12176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白﨑 良尚 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 近赤外光 / ローダミン / 量子化学計算 / 機能性色素 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はローダミン類がC2h対称の形で融合した有機色素のiso-ABPXを設計・合成した。本化合物は酸性条件で650 nm以降の長波長領域を吸収し、また酸濃度で分子種と吸収波長が二段階に変化する(ラクトン,無色; モノカチオン,桃色; ジカチオン,青緑色)こと、またジカチオンは700 nm以降の近赤外領域に蛍光を示す。本年度は本化合物の機能に着目し、応用に重要な化学種の平衡の制御に向け、外部環境が平衡に与える影響を調査した。 種々のアルキル鎖のアルコールに酸を添加しiso-ABPXを溶解したところ、アルキル鎖長の違いにより吸収スペクトルの形状が変化した。精査したところ、溶媒の誘電率と分子種の組成との関係が示唆された。理論計算で溶媒の効果を検討した結果、誘電率の高い場の中ではどの分子種も安定化するが、その程度はラクトン<モノカチオン<ジカチオンの順となり、この度合いの違いが分子種の組成と関係していると考察した。酸を添加したiso-ABPXのメタノール溶液を加熱・冷却したところ、モノカチオン-ジカチオン間の平衡の移動に対応する色調変化が観察された。メタノールの誘電率は温度で変化することが知られるため、本現象も溶媒効果と同様の機構によると考察した。 色調の変化に着目し機能性インクへの展開を試みた。ローダミン類はフェノール類と混合すると発色するため、この無色-発色を切り替える原理を利用して感熱紙・消せるボールペンなどが開発されている。しかし1つの色素で表示できる色は一種類であり多色印刷などへの展開は困難であった。iso-ABPXを固体状態でフェノール類と混合したところ直ちに粉末は発色し、さらにその混合比で桃色と青緑色の異なる二色に変化することを見いだした。上記よりiso-ABPXは色調変化機能を持つ新型のロイコ色素として利用可能であると考えられ、多色表示などへの応用が期待できる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)