2016 Fiscal Year Annual Research Report
微量の生体物質によって細胞機能を変化させる生体協調型高分子ゲルの開発
Project/Area Number |
15J12397
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
天本 義史 名古屋大学, ナショナルコンポジットセンター, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ゲル / 架橋高分子 / 分子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では、生体物質に対して反応性を示す高分子ゲルを用いて、細胞の機能を変化させるテーマを提案した。高分子ゲルの弾性率に応じて細胞機能が変わるため、生体物質に反応して弾性率が変わる高分子ゲルを用いれば、生体物質の種類に応じて細胞機能を変える事ができると考えた。本年度は、研究室を異動したため、分子シミュレーションという新しいアプローチから、本研究テーマに取り組んだ。コンピューター上で提案した分子システムを計算する事で、架橋高分子の構造と細胞膜のダイナミクスに関するモデルを構築できると考えた。 ① 分子シミュレーションによる架橋高分子の生成と弾性率の評価 分子動力学法を用いて、架橋反応と一軸伸長を行う事で、高分子構造と弾性率を最適化した。まず、二種類の星型高分子のモデルを作成した後、鎖末端で相補的に架橋反応を行い、一軸伸長から応力-歪曲線を得た。架橋反応濃度の減少に伴い、応力が減少し、ある濃度以下では、応力-歪曲線はほとんど同一となった。つまり、同じ架橋高分子を用いても、反応条件を適切に選ぶことで弾性率を変化できる事が示唆された。 ② 粗視化脂質膜の生成 高分子ゲルと接する細胞膜のモデルとして、計算機中で粗視化脂質二重膜の構築を試みた。既報からポテンシャルを導入して、シミュレーションを行ったが、二重膜は生成せず、一重膜が形成された。これは、用いたポテンシャル関数が多少異なっているためと考えられる。温度や圧力を含めてさらなる最適化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、計算機中で架橋高分子の作成と材料特性の解析まで行ったが、細胞膜のモデル構築は達成できなかった。これは、分子シミュレーションという技術の習得に時間を要したためであり、期待以上の研究の進展は見られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、シミュレーションについて一通り経験したため、今後、スムーズに研究を遂行できると考える。平成29年度は、脂質二重膜を形成するポテンシャルを特定した後、細胞膜と高分子ゲルを接した条件でシミュレーションを行う事で、反応性高分子ゲルと細胞膜ダイナミクスの変化に関するモデルを構築する予定である。
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Research Products
(4 results)